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八百長疑惑も飛び出した
アンデウソンのUFC敗戦。
~最強のブラジル人格闘家に何が?~ 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

PROFILE

photograph byAFLO

posted2013/07/29 06:00

アンデウソンは2006年1月、岡見勇信に反則負けをして以来、7年6カ月ぶりに黒星を喫した。

アンデウソンは2006年1月、岡見勇信に反則負けをして以来、7年6カ月ぶりに黒星を喫した。

 パウンド・フォー・パウンドでUFC最強の呼び声の高かったアンデウソン・シウバがまさかの敗北を喫した。

「UFC162」(7月6日・ラスベガス)でクリス・ワイドマンを挑戦者に迎えてのミドル級王座11度目の防衛戦。2R、アンデウソンがノーガードで「打ってこいよ」と挑発した刹那、左ストレートからのパウンドを2発食らい、レフェリーに試合を止められてしまったのだ。

 これでアンデウソンの連勝は17でストップ。さらに生涯初のKO負けという辛酸を嘗めさせられた。かといって、アンラッキーな敗北ではない。振り返ってみれば、負けるべくして負けた一戦だった。

 1Rにはワイドマンにタックルを決められ、足関節を極められそうな場面もあった。相手に傾きかけた試合の流れを強引に変えたかったのか、その直後にはいきなりあさっての方向を向くなど序盤から度を越えた挑発行為も目立っていた。

 過去に何度も大逆転劇を演じているアンデウソンだったが、その原動力は猛獣のような予測不可能な動きにあったと思う。しかし、この日は小賢しいフェイントに終始した挙げ句、誰もが予想だにしなかった結末の主役になってしまった。

年内の再戦が囁かれるが、アンデウソンの闘争心は再燃するのか?

 試合後の記者会見でUFCを運営するズッファ社のデイナ・ホワイト代表に「八百長だったのでは?」という質問が飛んだのも頷ける。それだけアンデウソンのパフォーマンスは常軌を逸したものに映ったのである。サッカーに例えれば、ワールドカップの決勝でオウンゴールを連発したようなものだろう。

 大番狂わせを演じたワイドマンはレスリング出身の29歳。この一戦までMMAは9戦のキャリアしかなかったが、そのポテンシャルは他のUFCファイターから高く評価されていた逸材だ。

 試合後、アンデウソンは「もうベルトのために闘うことは辞める」とタイトルマッチから身を引くことを示唆したが、その後、前言を撤回。「年内にもワイドマンと再戦したい」とリベンジを誓う。

 絶対王者の敗北ほど、ドラマになるものはない。デイナ代表は早ければ12月28日にも再戦を組む意向を示した。地元ブラジルでは国民的英雄としてもてはやされるほど名誉も財産も手にしたアンデウソン。本当に復讐の炎は燃え上がっているのか。それが一番の問題だ。

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