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強引すぎる走りに見えた、
王者ロッシの裏の顔。
~後味の悪さが残った日本GP~ 

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2010/10/25 06:00

強引すぎる走りに見えた、王者ロッシの裏の顔。~後味の悪さが残った日本GP~<Number Web> photograph by Satoshi Endo

 先日、ツインリンクもてぎで開催された日本GPで、V・ロッシとJ・ロレンソの二人が3位表彰台を懸けた熾烈なバトルを演じた。意地の張り合いとなったこの戦いで先着したのはロッシ。

 ラストラップに激しい戦いから身を退いたロレンソは、レース後、ロッシの戦いぶりを痛烈に非難した。

「僕は最後までフェアに戦おうとしたが、彼の走りはあまりにもアグレッシブで、フェアな戦いという点では限界を超えていた。身体をぶつけてきたり、バイクを当ててきたり、彼の走りは失格になってもおかしくないほどひどいものだった」

 コース上で両者が火花を散らしたとき、どちらが勝つかは明白だった。シーズン半ばに怪我をしたロッシは、すでにタイトル争いから脱落し失うものが何もない状態。タイトル獲得にあと一歩に迫っているロレンソは、ダーティなバトルを仕掛けられたら退くしかない。さらに言えば、今シーズン限りでヤマハを去るロッシにとっては、2年前にチームメイトになってから、ずっと嫌っていたロレンソを叩きのめす最高のチャンスだった。

今回のロッシからは、明確にぶつけようとする意志を感じた。

 だが、チームメイトをリタイヤに追い込みかねないロッシの激しい戦いぶりは、あきらかに常軌を逸するものであった。

「'05年のヘレスでのジベルナウ、'08年のラグナセカでのストーナーもそうだった。そして今回は自分に起こった。みんなうんざりしている。こんなことをしていると次はみんなに仕返しされるよ」

 ロレンソはこれまでロッシが起こした過去の事件を引き合いに出し、GPで一番の人気者を糾弾した。

 一方のロッシは、「終盤のバトルはファンタスティック。クリーンなバトルだった」と語った。しかし、今回の戦いのどこがクリーンだったというのだろう。素晴らしい戦いであれば、接触は常に不可抗力であり、避けられない状況で起こるものだ。しかし、今回のロッシからは、明確にぶつけようとする意志を感じた。

 追い込まれると、ついつい走りが強引になるロッシの悪い癖が出たレース。レースダイレクターとしては明らかに問題にすべきライディングだったが、今回も何のお咎めもなし。同様の例を数え上げればきりはないが、「やはりロッシを特別扱いしている」と言われても仕方のない後味の悪さが残った。

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