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ルーキー・秋山拓巳は
CSでうれし涙を流せるか。
~阪神投手陣の救世主に~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/10/14 06:00

ルーキー・秋山拓巳はCSでうれし涙を流せるか。~阪神投手陣の救世主に~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

阪神の高卒新人でシーズン2勝以上は球団史上3人目。右腕投手としては初の快挙だった

 阪神のルーキー、秋山拓巳の初登板は8月21日の巨人戦だった。だがプロの世界は甘くない。6回を投げて4失点、というホロ苦いデビュー戦に終わった。マウンドから降りた秋山は、タオルをすっぽりとかぶって「悔しい」と、ひと言だけ漏らすと、そのまま泣き出してしまった。それから7日後のヤクルト戦では5回を投げ、1失点。高卒1年目ながらプロ入り初勝利を上げると、ここでも「嬉しい」と涙を見せた。

 両親が「泣きのタクちゃん」と言うほど涙もろい新人が、今年の阪神投手陣の救世主である。

 今季、西条高からドラフト4位で阪神に入団。その時、秋山が強く意識していたのは、広島の今村猛と西武の雄星のドラフト1位コンビだった。昨年のドラフト会議で自分の名前がなかなか読み上げられず、4位指名となって悔し涙を流したことも影響しているのかもしれない。

CSでは、能見、久保に次ぐ3番手として登板予定。

「秋山のストレートは140km台だが、腕が遅れて出てくるため、ボールが打者の手元で伸びる」(中西清起二軍コーチ)ためにバッターからすると、なかなか打ちづらい。しかしストレート以上に、周囲の注目を集めたのは、高校通算48本塁打のバッティングだった。プロに入ってからもその打撃力は健在で、9月12日のヤクルト戦では、初タイムリーを叩き出している。

 デビュー戦で敗れた巨人にも、その1カ月後にはしっかりとリベンジを果たし、気が付けば4連勝。層が薄い阪神投手陣に、今や欠かせない存在になった。

 クライマックスシリーズ(CS)でも能見篤史、久保康友に次ぐ3番手として、マウンドに上がる予定だ。真弓明信監督は「シーズン中もチームの連敗を止めてきた。秋山は何かを持っている」とその強運に期待を寄せている。

「阪神の高卒ルーキーで、初年度から活躍したのは江夏豊以来いない」といわれるほど新人が育ちにくいのは、人気球団ゆえの宿命である。秋山にも自分自身を見失わない冷静さがあれば、今後も活躍できるだろう。

「自分が投げた広島戦で負けたことで中日の優勝が決まった。たぶん一生忘れないと思う」

 その悔しさが、CSにも生きてくるはずだ。

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