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超攻撃的にも超守備的にもなれる!?
ザックジャパンの初布陣を読み解く。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2010/10/02 08:00

超攻撃的にも超守備的にもなれる!?ザックジャパンの初布陣を読み解く。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

「アルゼンチンだからといって守備的には戦わない。秘策もない。あるとすれば、選手のクオリティーを最大限に出す術、それが私の武器です」と8日のアルゼンチン戦に関してチーム・マネジメントに自信をのぞかせたザッケローニ

 GK3人、DF7人、MF7人、FW8人。

 日本代表監督に就任したアルベルト・ザッケローニが初めて指揮を執る、アルゼンチン戦(8日、埼玉スタジアム)、韓国戦(12日、ソウル)に向けて選出した25人のメンバー登録の内訳である。

 まずもって驚かされるのはFW登録の「8」だ。

 ポジション別でもっともフォワードの割合が大きいというのは日本の場合、あまりない。先の南アフリカW杯でも、岡田ジャパンの内訳はGK3人、DF7人、MF8人、FW5人とMF登録が一番多い。“中盤天国”の日本代表は、トゥルシエ、ジーコ、オシム、それぞれの指揮下にあってもMF登録の割合が最も大きくなるのが常であった。だが、ザッケローニはそれをいきなり覆してきた。

 ただし、ザッケローニは生粋のFWを8人呼んだわけではない。そのうちの5人(松井大輔、本田圭佑、金崎夢生、香川真司、関口訓充)は所属クラブでMF登録である。つまり“生粋”のFWは3人しかいないという、オチが待っている。「彼らは(MFだが)守るよりも攻撃が得意だから」とイタリア人指揮官は愛嬌たっぷりに補足を加えている。

 本来は中盤の選手を、FWに登録させる。この意図を探れば、サイドアタッカーを配した3トップを検討していることが見え隠れしてくるのだ。

サイドにどういう仕事をさせるかでチームの性格が判明する。

 9月に行なわれた親善試合(パラグアイ、グアテマラ戦)のメンバー以外に目を向けると、FWには金崎、そして仙台から初招集の関口が新たに入った。

 金崎は首位の名古屋で3トップの右サイドアタッカーを務めていて、金崎と同じくドリブラーの関口は攻守にわたって運動量も豊富な選手だ。3トップのサイドに適している人材だと言えるだろう。この2人を選んだことが、3トップを志向していると考える根拠ともなる。

 ザッケローニは会見の席で「攻守のバランス」を強調しており、「3トップ=攻撃的」を直接意味するものではないという。岡田武史が南アフリカW杯で両サイドの松井、大久保嘉人に守備の意識を徹底させたように(あのときのシステムは4-5-1だが)、守備的なスタイルにもなりうるのだ。

 サイドアタッカーにどれほど守備の負担を負わせるかで、ザックが攻撃的なのか、守備的なのかが見えてくるということだ。

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