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“和製横綱”稀勢の里
誕生の可能性は。
~胆力を問われる名古屋場所~ 

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佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

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posted2013/07/11 06:00

“和製横綱”稀勢の里誕生の可能性は。~胆力を問われる名古屋場所~<Number Web> photograph by KYODO

顔を赤くして坂道をダッシュする稀勢の里。大相撲人気回復の起爆剤として期待がかかる。

「来場所の稀勢の里は綱取りだと思いますので、応援してあげてください!」

 先の5月場所千秋楽、25回目の優勝インタビューで、白鵬はこう語った。7月7日に初日を迎えた大相撲名古屋場所。はたして稀勢の里は、3代目若乃花以来の「和製横綱」となり得るか。

「常総の赤鬼」と地元茨城応援団に名付けられるほどに、その顔が紅潮し、目をパチパチとしばたたかせる。気合いが空回りするのが、これまでの稀勢の里だった。しかし、先場所は違った。力むことなく、精神面でも落ち着きを見せ、その立ち合いも腰をしっかりと割り、低い体勢から当たることで、おっつけもより効果を増していた。

 格下相手に取りこぼしも多かった稀勢の里だったが、13日目まで自身初の「勝ちっぱなし」。すわ、初優勝なるかと話題を独占したものの、白鵬、琴奨菊に2連敗を喫する。満員御礼の館内にため息がこだましたほどに、その大きな期待は裏切られてしまった。角界でも、「稀勢の里はここ一番に勝負弱い」と誰もが口を揃えるのだ。

「14勝なら、優勝はしなくとも」と横審委員長は示唆したが……。

「2場所連続優勝、もしくはこれに準ずる成績」との横綱昇進内規があるなかで、平成以降に昇進を果たした旭富士から日馬富士までの8人は、すべて2場所連続優勝で昇進を決めている。

 伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)は、「次が全勝優勝ならば、考える余地はある」と厳しい意見だ。北の湖理事長は、「優勝でも、13勝が最低ライン」とその目安を口にした。一方で、内山斉横審委員長は、「14勝なら、優勝はしなくとも」その可能性があると示唆する。

 15、14、いや13と、その数字上だけでも意見が割れるのだが、あるベテラン記者は、昇進の可能性についてこう言った。

「まずは序盤戦を乗り切るのがひとつのポイント。その後は最低でも横綱のどちらかひとりを破り、内容のいい相撲で13勝すれば、あとは昇進ムードを煽るだけ」

 一皮剥けたかのように見える稀勢の里。4大関のなかでも、横綱に一番近い存在であることには間違いない。

 出稽古にも精力的に出掛けて迎えた、初の綱取り場所。愛知県体育館に響くのは、ため息か、はたまた歓喜の声なのだろうか。

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