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雑草軍団・サニックスの
「走り勝つ」ラグビーを見よ。
~トップリーグ序盤戦総括~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

PROFILE

photograph byNobuhiko Otomo

posted2010/10/01 06:00

開幕3戦連続でトライを決めたヘスケス。恋人カーラもW杯MVPという豪脚カップルだ

開幕3戦連続でトライを決めたヘスケス。恋人カーラもW杯MVPという豪脚カップルだ

 今年のトップリーグはいきなり凄い。

 猛暑の開幕戦、滑るボールと体力の限界に挑み合った三洋電機vs.東芝の極限の攻防。東西で最年長出場と最年長トライの記録を塗り替えた40歳・松田努と39歳・伊藤剛臣のいぶし銀の輝き。新昇格ながら王者・東芝に肉薄したNTTコムの奮闘。強化体制が縮小された中で集中しきった戦いを続けるヤマハ……例年以上に上位と下位の戦力差がなくなり、隙のない、質の高い試合が東西で繰り広げられているのだ。

 そんなトップリーグ序盤戦3節までで、最も眩しい輝きを放ったチームは? と聞かれれば、サニックスを挙げたい。

 初戦ではコカ・コーラウエストに鮮やかな逆転勝ち。第2節では神戸製鋼に序盤で12点を先行されながら反撃し、後半は3トライを畳みかける会心の勝利。そして第3節のリコー戦は、最大22点差をつけられながらカムバック。疲れの見えたリコーを右に左に振り回して3連続トライを奪い、29対35と敗れたもののトライ数では5対4。7点差以内のボーナス点を含む勝ち点「2」を挙げてみせた。

限られた戦力で勝つ方法を模索して到達したラグビーとは?

 名だたるグローバル企業が並ぶトップリーグにあって、従業員1485人の九州拠点企業サニックスは異色のチームだ。早慶明や関東学院など有名大学出のスター選手はゼロ。他チームを解雇されたり、チームの縮小や消滅で移籍してきた選手も多い。限られた戦力で勝つ方法を模索した藤井雄一郎監督が到達したのが「スペースを攻めて、相手DFを疲れさせて走り勝つ」ラグビー。それが結果的に、トップリーグで最もスリリングで観客を魅了するラグビーを産んでいる。

 今季の主役、開幕から2戦連続でマン・オブ・ザ・マッチに輝いた、新加入のカーン・ヘスケスはその象徴だ。相手タックルを振り払い、突き抜ける爆走WTBは178cmと並の体格ゆえかスーパー14のキャリアもなく、オールブラックス経験者の半額以下で獲得した格安選手。試合では集中タックルを浴びるが「予想してるし、チームの役に立てれば平気さ」と笑い、「サニックスはどんなに差をつけられても諦めない勇敢なチーム。その一員でいられて嬉しい」と目を輝かせる。

 プレーオフの4枠を目指し、中盤戦を迎えるトップリーグ。不屈の雑草軍団の戦いぶりを、どうぞお見逃しなく。

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