SCORE CARDBACK NUMBER

外れ馬券は経費の判決。
競馬にも待たれる法整備。
~納税義務に残る疑問点とは?~ 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

PROFILE

photograph byKeiji Ishikawa

posted2013/06/25 06:00

外れ馬券は経費の判決。競馬にも待たれる法整備。~納税義務に残る疑問点とは?~<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

オッズ板を眺めながら、税金に頭を巡らすのは無粋というもの。早急な法整備が待たれる。

 いわゆる馬券裁判。大阪国税局から馬券の配当で得た所得を申告しなかったことを39歳の元男性会社員が大阪地検に告発され、無申告加算税を含む約6億9000万円を追徴課税されたことを不服として訴え出ていた件に、大阪地裁(西田真基裁判長)がかなり民意に沿った判決を打ち出した。

 概要はこうだ。そもそも馬券の配当は偶発的な儲けにあたる一時所得で、必要経費は当たり馬券の購入額のみというのが国税局側の定見。この元会社員は独自の自動購入システムを自らのパソコン上に組み上げ、当たりと外れを繰り返しながらも徐々に資金を増やし、'07年から'09年の3年間で約28億7000万円分の馬券を購入し、払戻金は約30億1000万円にのぼる成果を上げた。

 税務当局は30億円余という払戻金総額に納税義務があるとして告発したが、大阪地裁の判断は今回のケースは利益分にのみ納税義務があるというもの。脱税行為については有罪と認め、執行猶予付きの懲役2月を言い渡したが、脱税額については約5000万円に減額判断された。

「当選金は非課税」という法整備を急いでもらうのが民意だが……。

 もし国税局の主張が全面的に認められていたとしたら、馬券を買う行為そのものが、損をするか、儲かったとしても脱法行為者になる可能性を重く背負うかのどちらかという酷い事態となっていたわけだが、辛うじて法が現実的な判断で踏みとどまった。ただし、年間で100万円以上の利益をあげた場合には納税の申告義務があるという判断はそのまま。

 国税庁から'11年と'12年に出た意見書では「払戻金から当たり馬券の購入費を差し引いた残高が100万円を超えれば、JRAは国税当局への告知義務が生じる」と記されている。馬券購入の時点で25%もの控除をされているのに何故? という疑問は相変わらず残っているのだ。

 宝くじやtotoで認められている「当選金は非課税」という法整備を競馬にも急いでもらうのがまさに民意。この問題の全面的な解決はそこにしかない。

 それにしても、オッズと期待値を秤にかけて資金の配分を自動的に行なって投票を繰り返し、3年間継続的にプラスを計上したこの元会社員のソフト。市販の競馬予想ソフトに独自の改良を加えたものだといい、楽しいかどうかは別として、凄いと思う。

関連コラム

ページトップ