SCORE CARDBACK NUMBER

王者を追いつめた
三崎和雄の誇りと意地。
~SRCミドル級チャンピオンシップ~ 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

PROFILE

photograph bySusumu Nagao

posted2010/09/12 08:00

目の上を切りながらもサンチアゴのパンチを防ごうとする三崎。タオル投入での負けは初

目の上を切りながらもサンチアゴのパンチを防ごうとする三崎。タオル投入での負けは初

 SRC14(8月22日・両国国技館)は、試合によって温度差の激しい大会だった。中盤戦までの試合内容はボロボロ。ローブローで、何度試合が中断されたことか。レオ・サントスと対戦した山田崇太郎に至っては、計4度に渡るローブローでSRC史上初の反則負けを宣告されてしまった。

 シラけた場内の空気を変えたのは、まるで水が流れるような動きから繰り出された、日沖発の三角絞めによる一本勝ちだった。極めつけは、王者ジョルジ・サンチアゴに三崎和雄が挑戦したSRCミドル級チャンピオンシップだ。

 両者は昨年1月に同王座決定戦で初対決。この時は4Rまで三崎が試合を優位に進めながら、5Rになると失速してしまい、サンチアゴが逆転のチョークスリーパーで王座奪取に成功している。

唐突なエンディングに騒然となった両国国技館。

 今回はラウンドごとに攻守が激しく入れ代わる一進一退の攻防に。2R、カウンターのギロチンチョークで三崎が王者をタップ寸前まで追い込んだかと思えば、3Rには王者が右ハイから右ストレートでダウンを奪って形勢を逆転した。だが4R、再び三崎が左右のフックで王者の足を止める。さらに王者は故意の場外逃避でレッドカードを受けた。

 王座奪取まであと一歩。観客の誰もがそう思った5R、大どんでん返しが待ち受けていた。三崎の動きが極端に悪い。王者がパンチやヒザを繰り出すと、反撃することもできぬまま足の動きを止めてしまう。そのままグラウンドに引き込まれ、パンチを連打されると、三崎のセコンドがタオルを投げ入れた。試合放棄だ。唐突なエンディングに場内は一時騒然となった。「もう少し我慢すれば、王座奪取も夢ではなかったのに」と言いたげなムードも漂っていたが、それが限界だった。実をいうと、この一戦が決まった直後、三崎は右足首を剥離骨折。結局フットワークを使った練習は一切できぬまま、決戦の日を迎えていたのだ。

「とてもタフな試合だった。何度も追い込まれる展開になった」(サンチアゴ)

 試合後、三崎の両目は塞がり、鼻の周囲も腫れ上がっていた。それでもセコンドの肩を借りることなく、自力で花道をあとにしたのは彼のプライドと意地だったか。返り討ちにあったとはいえ、挑戦者の存在感が際立った一戦だった。

■関連リンク► タブーにも切り込んだ、SRCの格闘技改革。~国際化、報酬公開、マッチメーク~
► 『SRC』両国大会が露呈した、物語無き“大会”の限界。

ページトップ