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長島☆自演乙☆雄一郎 「コスプレだけだと思わないことだね」 ~K-1の異端者が抱く野心とは?~ 

text by

高崎計三

高崎計三Keizo Takasaki

PROFILE

photograph byYusuke Nishimura

posted2010/09/28 06:00

長島☆自演乙☆雄一郎 「コスプレだけだと思わないことだね」 ~K-1の異端者が抱く野心とは?~<Number Web> photograph by Yusuke Nishimura
不安ばかりが取りざたされるK-1にあって、
ただ一人異彩を放つ長島☆自演乙☆雄一郎。
屈辱の連敗を喫した後、3戦全KO勝利で
復活を果たした男が、自身の現在地を語った。

 長島☆自演乙☆雄一郎は'09年2月にK-1 WORLD MAXに初参戦し、格闘技界だけでなく広く世間に知られることになった。コスプレという特異なキャラクターで注目されつつ、ベテラン選手にKO勝ちするなど実力もあるところを見せつけた彼はバラエティ番組にも起用され、一躍K-1 MAXに欠かせない存在となった。だが、その直後に待っていたのはどん底の連敗劇だった。

 世界王者決定トーナメントに抜擢され、K-1出場3戦目にしていきなり初代世界王者アルバート・クラウスと激突した昨年4月の福岡。半年のブランクを置き、満を持して中国のシュー・イェンと対戦した10月の横浜。この2試合に連続して1ラウンドKO負けを喫した自演乙は、引退を口走るほどの落ち込みを見せた。

「クラウス戦の時は、冷静に見てチャレンジマッチやと思ってたからまだよかったんですよ。だけど、シュー・イェン戦の試合直後は、本気で死にたいと思いました。親にも顔見せられんし、どうしようと。何も考えず、負けたっていう結果だけで引退しようかなと思いましたから。トレーナーやスパーリング・パートナーに何も返せなくて、申し訳ないという気持ちも大きくて」

手のひらを返すように溢れたネットでの誹謗中傷。

 自演乙はずっと、「コスプレで入場して、負けたら笑い物になる。だから絶対に負けられない」と言い続けてきた。2試合続けて無様な姿をさらした彼は、まさしく笑い物になった。負けた途端に「コスプレなんかやってるから勝てないんだ」「イベントに出ているヒマがあったら練習しろ」といった声がネット上に充満した。ネットで注目されたことで躍進のきっかけを掴んだ自演乙だったが、今度はそのネットが“炎上”した。

「数日間、部屋から出られないぐらい落ち込んでました。ネットの書き込みは本当に手の平返しでしたね。ブログのコメントにも『ざまあみろ』みたいな書き込みが増えて、見るのがいやになった時期もあったぐらい」

 一度は高評価を得ただけに、このどん底との間には大きな落差があった。だが、彼は再び立ち上がることを決めた。その原動力となったのは、持ち前の負けず嫌いな性格だ。

「夢だったK-1の舞台に上がれるようになったぐらいなんやから、まだまだこんなもんやないやろと思うようになりました。ここまで来てるってだけで、まずすごいよなオレ、と。だからこそ納得できないし、悔しかった。負けたままで終われん、申し訳ないことをした周りの人たちに、返さなきゃと」

【次ページ】 練習環境を充実させるべく拠点を大阪から東京へ。

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