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KOダイナマイトを支える、
「恐れず、驕らず、侮らず」。
~内山高志、円熟のボクシング技術~ 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

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posted2013/06/04 06:00

KOダイナマイトを支える、「恐れず、驕らず、侮らず」。~内山高志、円熟のボクシング技術~<Number Web> photograph by BOXING BEAT

 5月初めに東京と大阪で行なわれたダブル世界タイトル戦計4試合のうち、3試合はKO決着で日本人チャンピオンが勝った。内山高志、井岡一翔のフィニッシュがいずれもボディーブローだったというのも珍しい。以前は「世界戦に出る選手がボディーで寝てしまうなんて、だらしがない」と批判されたものだが、これだけ見事に打ち込まれては、敗者に酷というものだろう。

 中でも不敗の挑戦者ハイデル・パーラに、5回の左フック一撃で10カウントを聞かせたスーパーフェザー級王者、内山の評価が高まっている。

「あの左はシャベルフックといってね、シャベルですくい上げるようにして打つことからこの名がついたんです。ジャック・デンプシーの教則本にも載っていますよ」と解説してくれたのは石井敏治さんだった。84歳の現役トレーナーは、自分の選手を連れてワタナベジムを訪れ、スパーリングで何種類ものジャブを打ち分ける内山のテクニックに感心して以来の“内山ウオッチャー”である。「KOダイナマイト」の異称と豪快な倒しっぷりで知られる内山だが、その技巧派の面がもっと評価されていい。

33歳ながら衰え知らずで、常識を弁えた「大人のボクサー」。

 天才ホルヘ・リナレスが失ったスーパーフェザー級ベルトを内山が手に入れたのが3年前。当時は「リナレスとの対戦は避けた方がいい」といわれたものだが、7度の防衛戦を重ねてすっかり安泰王者になった今の内山にそんな忠告は不要だ。リナレスがライト級に上げたため両者の対戦は現実的ではなくなったが、今なら内山有利の予想が上回るはずだ。

 今後ビッグマッチが期待できるとすれば、キューバの倒し屋ユリオルキス・ガンボアとの対決。内山にはリスキーかもしれないが、「実現すればどこでも見に行って応援したい」と内山と親しい村田諒太も言うなど、誰もが見たいカードだ。

 国内のジムに所属する現役世界王者7人の中でも最高齢の33歳ながら、なお衰え知らず。年齢もハンデとはならず、それどころか逆に「経験」というアドバンテージになっている。その人柄のよさからリング外での評判も良く、花咲徳栄高時代の部訓通り「恐れず、驕らず、侮らず」を、自然体で実践している。常識を弁えた「大人のボクサー」であることが、内山の一番の強みなのかもしれない。

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