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マラソン女子代表は“3人”。
現状打破へ、陸連の決意。
~世界陸上“5枠”を使い切らず~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byJun Tsukida

posted2013/05/21 06:00

マラソン女子代表は“3人”。現状打破へ、陸連の決意。~世界陸上“5枠”を使い切らず~<Number Web> photograph by Jun Tsukida

 4月25日、今夏にモスクワで行なわれる世界選手権のマラソン日本代表が発表された。衝撃が走ったのは女子だった。出場枠通りに5名を選出した男子に対し、同じ枠がありながら、木崎良子、野口みずき、福士加代子の3名に絞ったのだ。1997年の世界選手権で5枠となって以降、枠を使い切らないのは初めてのことだ。

 今回、選考の基準となる派遣設定記録が2分引き上げられてはいたものの、従来通り、記録に達しなくても国内の選考大会で3位以内なら代表候補の対象であると定められていた。今までこの規定により出場枠を目いっぱい使ったのに対し、記録をクリアした木崎以外の選出を2名にとどめた意図を、日本陸上競技連盟の尾縣貢専務理事はこう説明する。

「入賞を狙えるレベルでなければ(代表になるのは)厳しいことを示しました」

 背景には、オリンピックなど国際大会でのメダル獲得が当たり前だった時代からはほど遠い現状への危機感がある。ロンドン五輪で木崎が16位、尾崎好美が19位、重友梨佐が79位に終わったことは日本の地盤沈下を象徴している。これまで、天満屋総監督の武冨豊氏、第一生命監督の山下佐知子氏らを中心に強化や選考を見直してきたが、行き着いた答えの一つが、戦う意識を高めるために代表選考のハードルを上げることだった。

慣例を破った突然の変更に、小出義雄氏ら関係者からは疑問の声も。

 一方で、慣例を破った選考は混乱を招いた。横浜国際女子2位で有力候補と目されていた那須川瑞穂を指導する小出義雄氏は、「事前に聞いていない」と怒りを露わにした。

 関係者からも疑問の声が次々に出た。「『レースの内容で選んだ』というのも曖昧。それで枠を使い切らないなら一発選考の方がすっきりします」「男子は一人も設定記録を破っていない」「若手に経験を積ませるべきでは」。それらの戸惑い、批判は予見していただろう。その上での選考は陸連の決意の表れでもある。

 思い出すのは、「戦える選手だけを選ぶ」と出場枠を10名ほど返上した'00年シドニー五輪の競泳の代表選考だ。突然の変更に混乱もあったが、競泳でメダルの常連国となる契機となった。同様に、マラソン復権への一歩となるのか。少なくとも、現状打開への意志が伝わる選考ではあった。

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