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世界王座への登竜門、
新人王戦に期待する。
~ボクシング界の金の卵たち~ 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

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photograph byBOXING BEAT

posted2010/08/12 06:00

世界王座への登竜門、新人王戦に期待する。~ボクシング界の金の卵たち~<Number Web> photograph by BOXING BEAT

ミニマム級の原隆二が今年一番の注目株。一時、競馬騎手を志したが、再び拳で勝負する

「新人王予選」は今が熱戦真っ盛りだ。今年67回目を迎えた東日本新人王戦は12階級に204名が参加し、11月の決勝戦、暮れの全日本決勝に向け、着々と優勝候補が絞られつつある。

「チャンピオンへの登竜門」と言われる通り、新人王から出世して世界王座に就いた選手は、これまで全日本、東日本含めて18人もいる。原田政彦(ファイティング原田)と海老原博幸、のちに世界王者になった2人のライバルが東日本フライ級決勝で激闘を演じた新人王史随一の名勝負は、ちょうど半世紀前の'60年。ダウンを奪って勝った原田は、その後2年足らずで世界の頂点に立つ。

 西軍代表の渡辺二郎が東軍の小林光二を初回で沈めた'80年の全日本フライ級決勝ものちの世界王者対決だった。六車卓也が杉谷満とのエンドレスな打撃戦を制した'82年の一戦。(ピューマ)渡久地隆人が川島郭志の技巧を力でねじ伏せた'88年東日本の決勝。新しいところでは'92年、人気番組「元気が出るテレビ」の宿敵同士が全日本決勝に勝ち上がった飯田覚士と松島二郎の激闘――。ざっと振り返っても、こうした忘れられない試合の名場面が次々と思い浮かぶ。

本命視された選手が順当に勝てないのも新人王戦の特徴。

 相手を選べないトーナメント戦を勝ち抜いた優勝者が評価されるのは当然で、全日本を制すれば、ご祝儀で日本ランキングにも入る。ただ、新人王獲得後トントン拍子に出世する選手が近年、極端に少ないのはどうしたわけか。決勝戦は今も盛り上がるが、未熟すぎる、あるいはこぢんまりとまとまった選手がほとんどで、昔のようにこの先どこまで伸びるのかと観る者をわくわくさせる大器がなかなか出てこない。

「4勝以内という出場資格制限もあり、以前と比べると選手数も少なくなっている」(新田渉世・新人王運営委員長)の言葉通り、出場者総数はピーク時の半数。会場に以前の熱気がないのも気のせいではない。

 本命視された選手が順当に勝てないのも新人王戦の特徴で、期待されながら「引き分け敗者扱い」の特別ルールに泣き、負傷敗退――という例も珍しくない。大場政夫や浜田剛史といった名王者も新人王戦は途中敗退組だ。注目されつつ、重圧をはね返して勝ち上がる、たくましい新人の出現を期待したい。

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