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強靭な精神力を誇る、
スパーズの次世代スター。
~レナード、NBA2年目も臆さずに~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byNBAE/Getty Images

posted2013/04/08 06:00

高い身体能力と長いリーチを持つレナードは、リバウンドやディフェンスに強さを発揮する。

高い身体能力と長いリーチを持つレナードは、リバウンドやディフェンスに強さを発揮する。

「サンアントニオ・スパーズはまるでゴキブリのようだ」とチャールズ・バークレーが言ったのは5年も前のことだ。毎年のように「スパーズの時代は終わった」と言われ、時に絶滅寸前のように見えても、気づくと再びリーグの頂点にいる。そのことを称えた、バークレー流の褒め言葉だった。

 今季もスパーズのしぶとさは変わらず、3月25日現在、ウェスタン・カンファレンス首位にいる。36歳のティム・ダンカン、35歳のマヌ・ジノビリ、そして30歳になったトニー・パーカーらのベテラン選手たちがチームを率いているのは以前と同じだが、今のチームが強いのはその一方で若手選手も育ってきていること。中でも注目はプロ2シーズン目、弱冠21歳のクワイ・レナードだ。若手を簡単に褒めないグレッグ・ポポビッチ・ヘッドコーチが「彼はスター選手になる素材だ。時が来ればチームの顔になる」と手放しで賞賛するほどの逸材である。

殺人事件で父を失ったが、毎日精一杯生きることを心がけて。

 スパーズが2年前、レナードの指名権をトレードで獲得したのはディフェンス力を買ってのことだった。かつて、その嫌らしいディフェンスでスパーズ優勝に貢献したブルース・ボーウェンのような選手になると見込んだのだった。予想外だったのは、約半年のロックアウトがあけて昨シーズンが始まると、大学時代には弱点といわれたシュート力に磨きがかかり、オフェンスでも計算できる選手に成長していたことだった。

 それから1年半、今もコーチ陣やベテラン選手たちからプロの戦い方をスポンジのように吸収し、日々成長している。物静かな青年だが、接戦でシュートを打つ勇気を持ち、失敗しても引きずらず、成功しても浮かれすぎないのも魅力だ。

 メンタル面の強さは、16歳のときに殺人事件で父を失った悲しい経験の影響もあるという。父を失ったことを嘆き悲しんで過ごすのではなく、毎日、人生を精一杯生きることを心がけるようになったのだとレナードは言う。

 レナードいわく、NBAという大舞台で戦うことに怖じけたりはしないという。

「失敗は恐れていない。できる限りのことをすれば、結果はどうであっても自分自身に満足できる。失敗しても、別にそれで死ぬわけではないし、試合の後も人生は続いていくのだから」

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