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怪我に苦しんだローズが
MJの真の後継者となる日。
~ブルズファンの期待を背負う男~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byGetty Images

posted2013/04/21 08:00

怪我に苦しんだローズがMJの真の後継者となる日。~ブルズファンの期待を背負う男~<Number Web> photograph by Getty Images

抜群の得点力を誇るNBA屈指のPG。2季前には史上最年少の22歳でMVPを獲得した。

 デリック・ローズはマイケル・ジョーダンではない。シカゴのファンは今、そんな当たり前のことに気づき始めている。

 シカゴ・ブルズのファンにとって、幸か不幸か、スーパースターを測る物差しは常にジョーダンである。そしてローズこそ、ジョーダン後のブルズで唯一ジョーダンと比較するに値する選手なのだ。一挙一動を比べられてしまうのはしかたないことなのかもしれない。

 去年4月28日、プレイオフの初戦で左膝の前十字靭帯を断裂したローズは、手術から11カ月たった4月9日現在も、まだ試合に復帰していない。それだけ大きな故障だったのは確かだが、問題は1カ月以上前に医者から試合復帰のゴーサインが出ていることだ。練習では、2月頃から試合形式の5対5に参加しており、復帰間近と言われて久しい。しかしローズ本人は「110%の状態になるまでは復帰しない」と慎重な姿勢を貫いている。怪我は治っても、選手としてメンタル面での準備ができて、リズムを取り戻すのに時間がかかっているというわけだ。

27年前にブルズとジョーダンが経験した、ローズと真逆のケース。

 皮肉なのは、ブルズは27年前に似たような状況で逆の出来事を経験していることだった。ジョーダンがプロ入り2シーズン目に足を骨折したときのことだ。当時のジョーダンは一日も早く復帰したい気持ちが強く、チームの将来を担うスーパースターの復帰に慎重なフロントと衝突した。そのことが、フロントとの長期的なすれ違いのきっかけになったほどだ。

 もちろん、ローズとて復帰したいという気持ちがジョーダンに劣るわけではない。そのための努力も惜しんでいない。ただ、復帰に向けての基準がジョーダンとは違うだけなのだ。

 生まれて初めて1年近く休むような大きな故障をしたことで、ローズは選手としての自分を見つめなおし、食生活からトレーニング方法まで、一から見直し、改善したという。それまで本能だけでプレーしていたのを、映像で自分や相手を熱心に研究するようにもなった。

「故障前より効率のいいゲームができるようになると思う」とローズは語る。

 ローズはジョーダンではない。そのことをファンが心から理解し、受け入れたときに、ローズは真のジョーダン後継者となるのかもしれない。

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