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田中賢介、中島裕之でもやはり無理!?
MLBで日本人内野手が苦しむ理由。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byREUTERS/AFLO
posted2013/03/27 10:30
今季オープン戦での田中。開幕までになんとかメジャーへ上がるべく、セカンドだけでなく、ショート、サードなどの守備にも挑戦していたのだが……。
今シーズン新たに海を渡った2人の日本人内野手、ジャイアンツの田中賢介も、アスレチックスの中島裕之も、やはり内野守備で苦しんでいる。
田中は、打撃でも結果を出し切れずマイナースタートが決定。中島も同様にバッティングでも精彩を欠き、報道によると、セカンドコンバート論が噴出しているとか。
なぜ日本人内野手は、ことごとく守備で苦しむのか。
最大の要因は、日本の球場の多くが採用している人工芝と、メジャーの球場に多い天然芝の違いだ。'07年から'10年までメジャーでサード兼二塁手としてプレーした岩村明憲(ヤクルト)はこう語る。
「まず、基本姿勢がぜんぜん違うんです。日本人の場合は、左足が若干前で捕球する。でも、アメリカの内野手は、右足が前なんです」
日本では、内野手は「左足の前で捕る感覚」が基本だ。その方が一塁方向への動きの中で捕球できるため、投球動作への移行がスムーズだからだ。
イレギュラーの対応がしやすいメジャー様式の捕球姿勢。
一方、メジャー様式のメリットを岩村はこう説明する。
「右足を前にして捕った方が、(左手にはめた)グラブを動かせる範囲が広くなる。イレギュラーして差し込まれても、大きくグラブを引けるんです。
逆に左足が前だと、膝でブロックしてしまうような格好になるじゃないですか。メジャーは天然芝で、しかも打球が速いので、しょっちゅうイレギュラーする。だから、投げることよりも捕ることを優先して、このスタイルになったんだと思う。
誰に教わったわけでもないのですが、見ていて、そう理解しました」
その後、岩村は送球距離が短いセカンドを守るときはやや右足を前にし、速く強い送球が必要な三塁を守るときは日本時代に近いスタンスを取るようになった。