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木崎の台頭と野口の復活。
女子マラソンV字回復への鍵。
~金哲彦が見た名古屋での好走~ 

text by

金哲彦

金哲彦Tetsuhiko Kin

PROFILE

photograph byKyodo News

posted2013/03/26 06:00

名古屋ウィメンズマラソンのレース後半にトップ争いを演じた、野口、木崎、ディババ(左から)。

名古屋ウィメンズマラソンのレース後半にトップ争いを演じた、野口、木崎、ディババ(左から)。

 3月10日の名古屋ウィメンズマラソンで、木崎良子が2時間23分34秒という好タイムを出して優勝し、1年ぶりのレースとなった野口みずきも、2時間24分5秒で3位に入り、復活を印象付けました。木崎は8月のモスクワでの世界陸上に内定、野口も代表入りが有力です。

 陸連は、世界陸上の代表選考において、派遣設定タイムを「2時間23分59秒以内」とし、これまでより2分引き上げました。木崎がこのタイムを上回る記録を出せた要因は3つあります。1つ目は、天候、風、15度程度の気温と気象条件が整ったこと。2つ目は、野口みずきがペースメーカーに与えたプレッシャー。五輪金メダリストでマラソンを熟知している彼女は、もともと『前で引っ張る』タイプですが、名古屋でもペースメーカーに後ろから声を掛けたり、横に付いたりして、しっかりペースをコントロールしていました。

 そのおかげで先頭集団のペースが崩れないまま25km過ぎまでレースが進行。力のある選手だけが残りました。優勝争いは30km手前で、木崎、2位になったディババ(エチオピア)、野口に絞られましたが、そこからディババと野口が交互に前に出てスピードを上げ、仕掛けたんです。これが好タイムが出た3つ目の要因です。

木崎のスパート勝負での勝利、野口の“省エネ”走法はともに収穫。

 レースは35km過ぎで野口が脱落。木崎とディババとの一騎打ちとなり、40km過ぎの給水の隙に木崎がスパートし、そのままゴールしました。これは木崎がマラソン初優勝を果たした'11年横浜国際での展開と同じです。終盤でのスパートは木崎の“伝家の宝刀”です。その武器を活かすために、最後までじっとディババと野口のペースにくっついていったんですね。ディババはまだ19歳で、アフリカ勢のトップクラスではないですが、ロンドン五輪で16位に終わり、世界との差を痛感した木崎にとって、エチオピアのランナーに勝てたことは今後の自信になるでしょう。

 野口は不死鳥のような走りを見せてくれました。優勝には届かなかったものの、ロンドンを逃した昨年の名古屋に比べると、格段に走りは良くなっていた。野口の特徴はストライドが大きく全身を躍動させるような走りでしたが、同時に足に負担をかけていました。その結果、故障で走れない時期が続いたので、名古屋では、少しストライドを小さくして“省エネ”走法に変えたのでしょう。ベテランらしい彼女の工夫だと思いました。

<次ページへ続く>

【次ページ】 8月のモスクワ世界陸上では最低限でも入賞を!

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