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NBA隆盛の礎を築いた
名物オーナーの偉大な足跡。
~レイカーズを支えた巨星墜つ~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byGetty Images

posted2013/03/17 08:00

NBA隆盛の礎を築いた名物オーナーの偉大な足跡。~レイカーズを支えた巨星墜つ~<Number Web> photograph by Getty Images

オーナー歴34年で10回優勝という偉業を成し、2010年にバスケットボール殿堂入りを果たした。

 2月18日、NBAオールスター祭典の翌朝に、ロサンゼルス・レイカーズのオーナー、ドクター・ジェリー・バスが80年の人生を終えた。選手やファンがオールスターを楽しむのを見届けたかのようなタイミングでの幕引きは、いかにも彼らしい最期だった。

 '79年から34年間に渡ってレイカーズを運営してきたドクター・バスの存在の大きさは、一チームのオーナーというだけにとどまらなかった。たとえばタイムアウト中にファンを楽しませるためにダンスチーム、レイカー・ガールズを生み出した。それまでスポーツ色が濃かったNBAにエンターテイメントを持ち込み、一体化させたのだ。今のNBAオールスター・ウィークエンドはまさにそんな彼のビジョンの延長線上にある。

 ビジネス面でも革新的だった。チケット料金を席によって細かく設定し、コートサイド席を特別なものとして価値を高めた。元々が不動産で財を成しただけに、場所によって価値が違って当然という考え方だったのだ。その他にも'88年にアリーナのネーミングライツを取り入れるなど、今では当たり前になった手法をいち早く採用してきた。自分独自のビジョンを持ち、人と違うことを取り入れる勇気を持ち、ファンが喜ぶことを見つける嗅覚に優れていた。

リーグ全体の発展のために“贅沢税”を受け入れる器の大きさも。

 人情味あふれ、選手やファンの気持ちを大切にする人でもあった。そして、毎年、どのファンよりも強くレイカーズの優勝を願い、そのための努力や金銭を惜しまなかった。だからこそプロスポーツ界で最高のオーナーだと評価され、そのことに異論を唱える人はいなかった。

 オーナー会議でも影響力は大きかった。リーグ全体の発展を大事に考え、ラグジュアリータックス制など、自チームに不利なことでも受け入れた。

 13年前、ドクター・バスは若い頃の自分に似た考え方をする一人のオーナーと出会った。ダラス・マーベリックスを買収したばかりのマーク・キューバンだ。自由奔放でアイディアにあふれるキューバンに、ドクター・バスは「まわりは気にせず、自分らしくありなさい」とアドバイスしたという。

 ドクター・バスもその言葉通り、自分らしさを貫き、人生を謳歌し、スポーツ界に大きな足跡を残して旅立って行った。

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