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西欧への対抗意識持つロシアリーグ。
急成長の背景と日本人選手への評価。 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byShinya Kizaki

posted2013/03/08 10:30

西欧への対抗意識持つロシアリーグ。急成長の背景と日本人選手への評価。<Number Web> photograph by Shinya Kizaki

元々は陸上の短距離選手だった三枝洋介。優秀な短距離選手を輩出していたロシアの科学的トレーニング方法に憧れて渡露した。「当時はまさか自分がサッカー選手になるなんて思っても見ませんでしたよ」と笑いながら語った。

「今、ロシアのクラブはすごく日本人選手に注目しています。ロンドン五輪後、ロコモティフの強化担当者の本気度が変わりました」 三枝洋介 (スポーツエージェント・マネージメント)

 プロサッカー界のパワーバランスを考えるうえで、見逃せない勢力になりつつあるのがロシアリーグだ。潤沢な資源マネーを武器にエトー(カメルーン代表)やフッキ(ブラジル代表)といったビッグネームを買い集め、急速にレベルアップしている。

 今季のELでは、ベスト16にゼニト、アンジ、ルビンが進出した。3チームがベスト16に進出したのは、イングランド勢とロシア勢だけだ。初のロシア開催となる2018年W杯へ向けて様々なプロジェクトが立ち上げられており、サッカーを通じたロシアブランドの価値向上は国策のひとつになっている。

 各クラブの“購買欲”は衰えるところを知らず、あらゆるサッカー強豪国から選手を集めようとしている(ちなみにピッチに同時に立てる外国人選手の数は7人まで)。すでに本田圭佑がCSKAモスクワでプレーしているように、日本も例外ではない。

この冬、ひとりの日本人選手がロシアリーグに行く可能性があった!

 実はこの1月、あと少しでひとりの日本人選手が、Jリーグからロシアリーグへ移籍しそうだった。

 興味を持っていたのは、昨季ロシアリーグ9位のFCクラスノダール。クラスノダールはロシアの西端に位置する人口70万人の地方都市で、FCクラスノダールはクバンとともに地元の人気クラブだ。

 残念ながら、金銭面以外の部分でクラブ間の合意が得られず、移籍は実現しなかった。しかし注目すべきは、通常は最もネックになる金銭面に関して、何の問題もなかったということだ。たとえばクラスノダールは、設定されていた移籍金を十分に満たす額を用意していたという。

 そのFCクラスノダールの交渉に携わっていたのが、2011年9月に日露のスポーツ交流を目指してオフィスを立ち上げた三枝洋介だ。

 三枝は言う。

「契約上、選手名を言うことは絶対にできません。ただ、ロシアリーグの魅力を伝えるためにも、もっと身近に感じてもらうためにも、ロシアのクラブがJリーグにどれだけ興味を持っているかをお話ししたいと思います」

陸上のトレーニングで訪れたロシアでサッカーに出会う。

 三枝がロシアを初めて訪れたのは1993年のことだった。

 陸上の短距離選手だった三枝は旧ソ連の近代トレーニングに興味を持ち、高校を卒業すると単身渡露。ロシア国立体育大学に飛び込み、コーチを見つけてロシア式トレーニングに没頭した。

 だが、100mで10秒後半までタイムは伸ばせたものの、そこで壁にぶつかり、コーチから「サッカーに転身してはどうか」と勧められた。ロシアでは陸上にサッカーの練習も取り入れられており、コーチは三枝にサッカーのセンスを見て取ったのだ。

【次ページ】 元ガンバ大阪のツベイバの協力を仰ぎ、代理人の道へ。

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