SCORE CARDBACK NUMBER

初のオールスター選出を
果たした地道な“雑用係”。
~NBA12年目、チャンドラーの流儀~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2013/02/24 08:00

初のオールスター選出を果たした地道な“雑用係”。~NBA12年目、チャンドラーの流儀~<Number Web> photograph by Getty Images

あご髭が特徴的な好センターは、献身的かつ俊敏なディフェンスでリバウンドを量産する。

 子供の頃から神童と騒がれていたからといって、必ずしも大成するわけではない。高校時代から注目され、NBAでもあっという間に頂点まで上り詰めたレブロン・ジェイムスが稀な例で、むしろ本物の実力がつく前に騒がれたことが原因で、早々に挫折してしまうことのほうが多い。

 そう考えると、タイソン・チャンドラーはジェイムスとは違う意味で特別な例なのかもしれない。

 チャンドラーは14歳のときに全米放映のニュースマガジン番組「60ミニッツ」に取り上げられた注目選手だった。高校時代も長身と運動能力を生かして期待通りの活躍をみせ、'01年、高校卒業と同時にNBAドラフト2位で指名された。高校とプロの差は思っていた以上に大きく、苦労もしたが、若く、希望にあふれていたチャンドラーは、少し頑張ればすぐにオールスターに選ばれると思っていた。

 しかし、その道は思っていた以上に遠かった。努力しても結果につながらない時期もあった。コーチと相性が悪いときもあった。何度かトレードにもなった。それでも周りのせいにすることなく努力し続け、少しずつディフェンスを評価されるようになった。'11年にはダラス・マーベリックスの一員として優勝に大きく貢献した。しかし、それでもまだオールスターには選ばれなかった。

味方のために体を張り、外れたシュートを拾って決めるいぶし銀。

「自分は派手なプレーをするタイプではないから」と、チャンドラーは自分を納得させるかのように分析していた。

 実際、オフェンス面では、乱暴に言うと“雑用係”。現在所属するニックスでも、チャンドラーが得点するためのフォーメーションはなく、味方選手が攻撃しやすいようにスクリーンをかけ、外れたシュートを拾って決める地味な役回りだ。それこそが、過去の栄光を忘れ、プロ12シーズンの間に築いてきた自分の価値だったのだ。

 1月下旬、今年のオールスター控え選手が発表になったとき、イーストのメンバーの中にチャンドラーの名前があった。プロ12シーズン目にして、初のオールスター選出だ。

「選ばれたことに感謝している」と、チャンドラーは喜んだ。「何年ものハードワークの結果だ。何より、数字に現れない努力を認めてもらえたのが嬉しい」

関連コラム

関連キーワード
レブロン・ジェイムス
タイソン・チャンドラー
ニューヨーク・ニックス
NBA

ページトップ