SCORE CARDBACK NUMBER

高まる不況を吹っ飛ばせ。
リーガの顧客獲得大作戦。
~スタジアム離れ対策あれこれ~ 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

PROFILE

photograph byDaisuke Nakashima

posted2012/12/02 08:00

多くの観光客が足を運ぶバルサの本拠地カンプノウも空席が目立つ。他スタジアムはより深刻だ。

多くの観光客が足を運ぶバルサの本拠地カンプノウも空席が目立つ。他スタジアムはより深刻だ。

  10月に発表された失業率が過去最高の25%を超えたスペイン。4人に1人が失業者という異常事態だが、不況はサッカーにも影響を及ぼしている。

  大半のスタジアムで観客収容率が90%を超えるイングランドやドイツとは違い、スペインで90%を超えるクラブは今季ひとつも存在しない。バルセロナやバレンシアでさえ75%前後、小クラブになると50%程度というのが実情だ。

  理由のひとつは高すぎる入場料にある。毎試合7万人が駆けつけ満員のバイエルン・ミュンヘンの年間パスより、平均観客数が1万3000人と客席が半分しか埋まらないバジャドリーの年間パスの方が高いという不適正な値段設定は、少しずつ客足を遠ざけていった。

  加速するスタジアム離れに、各クラブは観客をスタジアムに呼び戻すための取り組みをようやく始めている。

  6季ぶりに1部復帰を果たしたものの、観客数が伸びなかったセルタは、チケットの4割引セールを実施。マラガは2試合分買えば半額になるという、スーパーマーケットのような特売を始めている。

  収容率が49.5%とリーガ最低のヘタフェにいたっては、後半戦のシーズンパスを50ユーロという大特価で売り出し、さらにファンショップで40ユーロ以上の買い物をすれば無料でチケットがもらえるという、あの手この手のキャンペーンで盛り返しを狙う。

コロンビア出身のファルカオに注目した、アトレティコのひと工夫。

  チケットの値段を安くするだけではファンは戻ってきていないのが現状だが、そんな中で一風変わった企業努力をしているのがアトレティコ・マドリーだ。

  クラブが目をつけたのはマドリード近郊に住む多くのコロンビア人移民と、同国出身のスター選手ファルカオだ。

  コロンビア大使館と提携し、コロンビア人に限り8ユーロでチケットを売るというキャンペーンを展開。格安で自国のスターを見られるとあってか、11節のヘタフェ戦には6000人のコロンビア人が駆けつけ、平均入場者を上回った。

  さらには地元銀行と提携し、給与振込口座を開設すれば年間パスが無料になるという手を打つなど、独自の顧客獲得作戦を展開し、手応えを得つつある。

  未曾有の不況下で生き残るには、単純な値下げだけでなく、アトレティコのようなひと工夫も必要になってくるはずだ。

関連コラム

ページトップ