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ストラスバーグの快投が
ドラフトの価値を変える。
~MLBで成功している戦力均衡策~ 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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posted2010/06/23 06:00

ストラスバーグの快投がドラフトの価値を変える。~MLBで成功している戦力均衡策~<Number Web> photograph by Getty Images

新人のデビュー戦としてはメジャー歴代3位の記録となる14三振を奪ったストラスバーグ

 6月9日、3日間にわたる大リーグの新人ドラフトが終了した。昨年から専門テレビ局『MLB TV』が1巡目指名の生中継を開始したものの、それまで米国内での注目度は決して高くはなかった。というのも、元来、米国球界には新人を即戦力として期待する発想はない。実際、メジャー取材歴27年の経験を持つ『ESPN. com』のゴードン・イデス記者は、「いい選手でも、最初の2~3年はマイナーでプレーする。だから、ファンはあまりドラフトに興味を持たない」と分析する。

 しかも、メジャー30球団が50巡目まで指名する選手の入団率は、平均50%前後。今年、タイガースがリーランド監督の息子パトリックを8巡目指名したのをはじめ、ホワイトソックス・ギーエン監督ら計5監督の2世選手が、いずれも父の所属する球団から「縁故」で下位指名されるなど、指名の重みを疑問視する声があることも否定できない。

メジャーの常識を覆す21歳の快速右腕ストラスバーグ。

 そんな状況を覆す存在となり得るのが、21歳の快速右腕スティーブン・ストラスバーグだ。'09年ドラフトの全体1位でナショナルズから指名され、史上最高額の4年1510万ドル(約14億円)で契約。サンディエゴ州立大で指導したかつての名選手、トニー・グウィン監督が、「メジャーでもすぐに通用する」と評した逸材である。開幕こそマイナーで迎えたものの、全米が注目した8日のメジャー初先発では、パイレーツ相手に100マイル(約161km)の速球を主体に7回2失点14奪三振の快投で初勝利を挙げた。さらに、13日のインディアンス戦で2勝目。球団の育成方針による年間の球数制限で、勝ち星がどこまで伸びるかはわからないが、即戦力どころか早くも超一流としての資質を披露した。

低迷に喘いできたナショナルズはドラフト制度で強豪に!?

 2年連続でトップ指名権を持つナショナルズは、今年のドラフト1位で17歳のスラッガー、ブライス・ハーパー捕手を指名した。高校を2年飛び級し、南ネバダ短大の主軸として150m級の本塁打を放つ長打力は「30年に1人」と言われる。長年、低迷に喘いできたナショナルズが有力新人を獲得し、数年後に強豪チームへ変貌すれば……。

 1965年、ドラフトを導入して以来、戦力均衡を目指す本来の目的は、今も失われていない。

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