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試練もポジティブに捉える、
天才・藤田慶和の現在地。
~ラグビー界担う早大の1年生FB~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

PROFILE

photograph byNobuhiko Otomo

posted2012/11/03 08:00

試練もポジティブに捉える、天才・藤田慶和の現在地。~ラグビー界担う早大の1年生FB~<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

「グラウンドに戻ったときに、外からだったら試合はどう見えるか。それを分からせるために、今は神様が勉強させてくれてるんだと思ってます」

 藤田慶和は、屈託ない表情で話した。10月14日、秩父宮ラグビー場で行なわれた関東大学対抗戦の早大対筑波大の一戦。7人制と15人制の日本代表で、早大1年となった若きスターは、スタンド最上段の学生席で観戦していた。試合は、日本代表のSH内田啓介や7人制日本代表WTB彦坂匡克ら、充実した戦力で初の大学王座を目指す筑波大に、早大が粘り強いディフェンスで対抗。残り5分までリードを奪っていたが、最後の最後に筑波が爆発。LO藤田幸一郎のトライで逆転し、さらに彦坂匡がダメ押しのトライ2連発。5-7の劣勢を26-7の完勝に作り替えてしまう底力をみせた。

 そんな激闘を、観客席で見た感想を尋ねた答えが冒頭の台詞だ。

「FBとして、どっちに攻めたらどう有利になるか、ディフェンスラインがどう動くかなど、結構冷静に見てました」

5月に左膝靱帯断裂も「身体を大きくするチャンスをもらった」。

 東福岡高では国内公式戦3年間無敗。高3夏のNZ留学ではカンタベリー地区のシーズン最多トライを記録。5月のアジア5カ国対抗のUAE戦では、18歳7カ月という史上最年少キャップ記録を樹立し、1試合6トライの衝撃デビュー。そんな天才FBがスタンドにいたのは、5月27日に京都で行なわれた早大対同大の招待試合に出場した際、左膝靱帯を断裂する重傷を負ったためだ。日本ラグビー界の夢を背負う若者を襲った過酷なアクシデント……だがこの少年は、あらゆる出来事をポジティブに受け止める、柔らかくしなやかな心を持っていた。

「今は身体を大きくするチャンスをもらったと思ってます。これまで僕はケツが小さくて、脚だけで走っていた。今はJISS(国立スポーツ科学センター)でケツのトレーニングを集中してやってます。パンパンですよ」と苦笑しながら、

「JISSではいろんな競技の選手たちと接する機会があって、上のレベルを目指す雰囲気の中で過ごせたことが自分にもプラスになりました」と目を輝かせる。

 9月下旬にジョギングを再開し、10月からは次代の代表を育成する「ジュニア・ジャパン」の練習にも参加。若きスターは、きっと大きくなって帰ってくる!

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