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スキージャンプの注目は“-4cm”。
新ルールに日本勢は対応できるか? 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byShino Seki

posted2012/10/23 10:30

スキージャンプの注目は“-4cm”。新ルールに日本勢は対応できるか?<Number Web> photograph by Shino Seki

今年3月に蔵王で行なわれたワールドカップで個人初優勝を飾った高梨沙羅。ジャンプ女子が、正式種目として採用されるソチ五輪でのメダル候補として期待されている。

 この秋、ノルディックスキージャンプのスーツに関するルールが再度変更されることになった。

「再度」、というのは、従来のルールではスーツと体とのサイズの差が6cm、つまり体より6cm大きなスーツが認められていたのを、今春、「スーツは、ボディーのあらゆる部分においてぴったり体にあったものでなければならない」と変更することが発表になっていた。それを、2cmまでは許容することに緩和したというのである。結局、新ルールでは従来より4cm、小さくすることになった。

 スーツのサイズの数cmの変更というとささいなことのように思える。だが、決してそうではない。これまでを振り返ってみれば、ルール変更が競技に及ぼしてきた影響が浮き彫りになる。

 スキージャンプは、さまざまな変更が行なわれてきた。よく知られるところでは、長野五輪後、使用できるスキーの板の長さの上限が、「身長+80cm」から「身長の146%」になった、いわゆる146%ルールがある。

選手のパフォーマンスに多大な影響を及ぼすルール改正。

 2004-'05年のシーズンには、BMIのルールが導入された。飛距離を伸ばすために過度に減量する選手が目立つようになり、健康への害が懸念されるようになった。そのため、(スーツとブーツを含めた)体重を身長の2乗で割った指数=BMIの数値が基準より少なければ、段階によって履ける板の長さを身長の144%まで、142%までというように制限したのである。

 こうした変更の影響は小さくなかった。長野五輪後の146%ルールによって、身長が160cm台の選手の場合、数cm短い板を使わざるを得なくなった。それによって、長野五輪のラージヒルや団体で金メダルを獲ったように、世界のトップクラスにあった日本の選手たちは調子を崩していった。

 昨シーズンもまた、ルールの小さな変更が成績に大きく影響したと言える。シーズン前、もっとも長い板を履くためのBMIが20.5から21と、引き上げられた。選手にとっては、同じ体重であっても履くことができる板は数cm短いものになったのだ。

【次ページ】 わずか0.5のBMI数値の変更で、塗り変わった勢力図。

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