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スピードスケート開幕戦。
ソチに向けて好発進。
~小平奈緒、加藤条治の進化~ 

text by

折山淑美

折山淑美Toshimi Oriyama

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photograph byTakao Fujita

posted2012/11/13 06:01

スピードスケート開幕戦。ソチに向けて好発進。~小平奈緒、加藤条治の進化~<Number Web> photograph by Takao Fujita

10月27、28日に行われた全日本距離別選手権で、2年連続3冠を果たした小平奈緒(左)と3年ぶりに500mで優勝した加藤条治。

「選手はいろいろ試さないと成長しないし、失敗しなければ成長もない。それをできるのが昨シーズンだったから、主力選手には自由に思い切ってやれと話していた。だが今シーズンは結果を出していかないと、ソチ五輪は厳しくなってしまう」

 日本スケート連盟の橋本聖子会長は、今季のスピードスケートをこう位置づけていたが、そんな杞憂を晴らすかのような活気溢れるシーズンインとなった。

 10月27、28日に長野で行なわれたシーズン開幕戦の全日本距離別選手権。小平奈緒が初日の500mで国内最高記録を連発すると、2日目の1000mでも前週に自身が出した国内最高に肉薄する大会新で、1500mと併せた3冠を獲得した。

 バンクーバー五輪500mで銅メダルを獲得している加藤条治も、500mで世界記録保持者ジェレミー・ウォザースプーンのリンク記録を更新する34秒64を叩き出した。

 個人種目ではメダルを獲得できずに終わったバンクーバー五輪後、小平はレスリングの吉田沙保里を訪ねて練習をするなど、様々な考え方をトレーニングに取り入れてきた。

「男子並みの負荷をかけた練習」で小平が得た、氷を“噛む”滑り。

「昨季終了後、『男子並みの負荷をかけた練習をしたい。私は本気です』と小平が言ってきたんです」と結城匡啓コーチは振り返る。小平は「外国選手とは体格差がある。体力をつけてその差を埋めなければ、技術だけでは超えられない」と考えたのだ。

 ウエイトトレーニングでは男子の練習パートナーを目標にし、スクワットも以前より10kg重い120kgで10回続けられるまでになった。筋力がアップしたことで、一歩一歩をギュッと押す彼女独特のストロークを最後まで支えられる、硬い刃を使えるようになった。

 さらにこれまで悩みだったスケート靴への違和感も、高橋尚子など数々の名ランナーにシューズを提供してきた三村仁司氏のアドバイスで解決。自らが思い描く角度まで靴を倒せるようになり、エッジが氷を“噛む”滑りが完成した。

「今回は38秒06と38秒05で滑れたけど、どうせなら37秒台を出したかったですね」と小平はまだ不満気。だが、結城コーチは「去年のこの大会では、気圧の低い“好条件”の中で出た1000mと1500mの国内最高記録だったけど、今回は快晴で気圧も通常。その中での38秒0台は悪くない」と評価する。

【次ページ】 躍動感を取り戻した加藤が、分析より大切にした感覚。

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