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<欧州王者チェルシーの超新星> エデン・アザール 「その男、40億円につき」 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byGetty Images

posted2012/10/19 06:00

<欧州王者チェルシーの超新星> エデン・アザール 「その男、40億円につき」<Number Web> photograph by Getty Images
今季のプレミア移籍金最高額となる 4000万ユーロで、
欧州王者のチェルシー入り。 フランスからイングランドに
殴り込みをかけた若きファンタジスタ、そのポテンシャルを探る。

「行き先はプレミアと最初から決めていた。プレーしたいとずっと思っていたし、普段テレビで見ていたのと同じかどうか、自分自身で確かめたかったんだ」

 エデン・アザールは、今季開幕から3試合連続でマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたニューカッスル戦の後でそう語った。

「ボールがピッチを縦横無尽に行き交っていて、死んだ時間がない。こういう緊張感のある試合を、僕は毎週やりたかった」

移籍金は香川の倍以上。期待通りの活躍でチェルシーファンを虜に。

 フランス・リーグアンの年間最優秀選手賞を2年連続で受賞したアザールは、このオフの移籍市場の目玉だった。最も有力視されたのは、マンチェスターの2つのクラブ。だが、ブンデスリーガ最注目株だった香川真司(1700万ユーロ)の、2倍以上となる4000万ユーロ(約40億円)の移籍金で彼をリールから獲得したのは、欧州チャンピオンのチェルシーであった。

 チェルシーで期待に違わぬ活躍を見せるアザールを、「彼ならこのぐらいやって当然。何も驚きはない」と、昨年のオフには3500万ユーロを用意し、自身も一度は獲得に動いたアーセン・ベンゲルは評する。

 かつて、オセールの監督を長く務めたギィ・ルーも「やがてはジダン、クライフ、ペレに匹敵する存在になり得る」と絶賛した縦横無尽のドリブルと創造性に溢れるパス。わずか数週間でスタンフォード・ブリッジのサポーターを虜にした21歳の若者の素顔に迫る。

「寝るときも、宿題をするときも、常にボールと一緒だった」

 エデン・アザールは1991年1月7日、フランス国境にほど近いベルギー中西部の街ラ・ルビエールに生まれた。父親は地元クラブ(ベルギーリーグ2部)に所属するプロ選手。母親も女子サッカーの選手で、家の中はいたるところにボールが転がっていた。

「寝るときも、学校に行くときも、宿題をするときも、常にボールと一緒だった。庭でふたりの弟たちといつも遊んでいたから、ドリブルもパスも自然と覚えたよ」

10歳でリールに才能を認められ、14歳になると育成にスカウトされて、家族のもとを離れひとり国境を越えた。

「もともとその気だったから、躊躇いはまったくなかった。むしろ両親のほうが、僕を手放すのが辛かったんじゃないかな」

【次ページ】 18歳の時、ジダンがレアルに獲得を進言したことも。

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