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日本のトップチームが代表になれず!?
カーリング男子、五輪への“大誤算”。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byImaginechina/AFLO

posted2012/10/07 08:01

日本のトップチームが代表になれず!?カーリング男子、五輪への“大誤算”。<Number Web> photograph by Imaginechina/AFLO

中国で行なわれた昨年のパシフィックアジア選手権に日本代表として出場した、敦賀信人擁するチーム北見(前チーム常呂)。他チームの急成長もあり、参加国中最下位の6位に終わった。

 11月16日に開幕するパシフィックアジアカーリング選手権の日本代表決定戦が、10月22日から26日まで行なわれる。

 しかし、大会の開幕を前に、残念なニュースが飛び込んできた。

 男子の代表決定戦に参加する3チームのうち、チーム北見が欠場を決めたのである。

 チーム北見は、敦賀信人がスキップとして率いるチームである。1998年の長野五輪に20歳で出場し、「若き司令塔」として大きな脚光を浴びた選手だ。準決勝進出をかけたアメリカ戦で、わずか3cmの差で敗れ、涙を流したシーンを覚えている人もいるかもしれない。

 チーム北見は、2010年から今年まで、日本選手権を3連覇し、日本代表として国際大会に出場してきた。その実績が物語るように、日本男子のトップチームである。

 そのチームが欠場するのは、あえて例えるなら、Jリーグの1位~3位のクラブの中から、国際大会に出場するクラブを決める戦いをしようとして、1位のクラブが欠けてしまったということである。あるいは日本シリーズに出場するセ・リーグの代表を決めようとしている中で、優勝した巨人が戦わずしていなくなった状況という風に例えてよいかもしれない。しかも、後述するが、今回のパシフィックアジア選手権は、再来年開催されるソチ五輪出場へ向けて後がない大会である。なおさら、意味は重い。

繁忙期を迎える本業に従事するため、欠場もやむなし。

 欠場の理由は、北海道カーリング協会によると、「仕事の問題から」であるという。

 敦賀をはじめ、チームのメンバーは、漁業ないしは農業に従事している。秋は繁忙期を迎えるが、現地の情報では、天候の問題で、例年より繁忙期が長くならざるを得なかったという。ましてや働き盛りの彼らは、それぞれの職において、大黒柱的な存在でもある。抜けるわけにはいかない。代表決定戦の実施は、今年4月に分かっていたこととは言え、どうにもならなかった。そこで欠場を余儀なくされたのである。

「5人いるうちの一人が抜けるのであればともかく、複数名が抜けるとなると、難しい。出られるように懸命に考えてきたようですが、苦渋の決断だったと思います。私たちにとっても衝撃は大きいですが」(北海道協会)

【次ページ】 トップチームの欠場でソチ五輪の可能性が遠ざかる。

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