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女王から勝利を奪った、
高梨沙羅が掴んだ自信。
~W杯ジャンプ女子最終戦を終えて~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byShino Seki

posted2012/03/24 08:00

女王から勝利を奪った、高梨沙羅が掴んだ自信。~W杯ジャンプ女子最終戦を終えて~<Number Web> photograph by Shino Seki

W杯第11戦で女王サラ(左)を見事破り、男女を通じて最年少優勝を果たした高梨(中央)。

 3月9日、ノルウェー・オスロでの最終戦をもって、ノルディックスキー・ジャンプ女子のワールドカップは終了した。

 ワールドカップ開催の最初のシーズン、日本勢では、中学3年生の高梨沙羅が総合3位に入った。特筆すべきは、大会の出場数が少ない中での成績であることだ。ランキングのトップ10のうち、全13大会に出場したのは総合優勝をおさめたサラ・ヘンドリクソン(アメリカ)をはじめ8人、12大会が1人。対する高梨は、ユースオリンピックなどがあったため、9大会でしかない。にもかかわらず3位になったのは、好成績を続けてきたことを物語っているし、ジャンプに安定感が出てきたことの証明でもある。

 今シーズンのもうひとつの収穫は、3月3日、蔵王で行なわれた第11戦で、ヘンドリクソンを破り、優勝したことだ。ヘンドリクソンは今シーズン、13戦中9勝と、圧倒的な強さを誇ってきた。その選手を破った経験は、来シーズンへ向けての自信ともなるはずだ。

「憧れであり、目標の選手なので、うれしいです」

 蔵王での試合後、高梨は喜びを表したが、渡瀬弥太郎日本代表女子チーフコーチも進歩を認める。

「高梨のよさは、なによりも、ジャンプの基本をきちんとやれるところです。しかも、どの大会でも、その技術を出すことができるようになってきた。精神面の成長も大きいと思います」

加熱する報道合戦が与えるストレスへの対策を。

 世界のトップジャンパーの一人としての地位を築いた高梨だが、今後への懸念材料がないわけではない。それは周囲の過熱ぶりである。蔵王大会では試合後、常に多くの取材陣に追いかけられる状況に陥った。大きな人の輪を外から見ていると、本人がどこにいるのかまったく分からないほどだった。

 過去にも、注目を集めてそうした状態になる選手は何人もいた。それが競技にマイナスに働いたケースもあったし、選手がどのような心理的負担を強いられたか、話を聞く機会もあった。

 それだけに、全日本スキー連盟を中心に、どのように本人がストレスをためない環境にいられるか、サポートしていくことも重要となる。取材する立場の一人ではあるが、そう思う。

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