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技術、メンタル、積極性。
男子がU-20女子に学ぶこと。
~ヤングなでしこの上質なサッカー~ 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

PROFILE

photograph byToshiya Kondo

posted2012/09/16 08:00

技術、メンタル、積極性。男子がU-20女子に学ぶこと。~ヤングなでしこの上質なサッカー~<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

相手が触れない場所にコントロールする田中美南のトラップ技術は世界でもトップクラス。

 長年、育成年代の国際大会を取材していると、彼我の差を思い知らされる機会は数多い。相手の厳しいプレッシャーに腰が引け、落ち着いてボールを扱えない。パスにばかり頼り、自らボールを運ぶことができない、などなど。そんな日本選手の姿を見ることには、もう慣れっこになっていた。

 だからこそ、U-20女子ワールドカップは痛快だった。U-20女子代表、通称「ヤングなでしこ」の面々が、男子の大会で感じていたそうした不満を、ことごとく解消してくれたからである。

 まずは単純に、彼女たちは技術レベルが極めて高い。技術だけなら、すでに姉貴分の「なでしこジャパン」より数段上だろう。膝下の小さな振りでグラウンダーの速いパスを繰り出す木下栞のインサイドキックや、大きなサイドチェンジでもピタリと止める田中美南のトラップなどは、惚れ惚れするほどである。

 加えて、これが男子との決定的な差だと思うのだが、パスをつなぎながらも、前が空けば、自らボールを運ぶことができているのだ。しかも相手のプレッシャーを受けたからといって、すぐにバックパスに逃げたりせず、ギリギリまで自分でボールをキープして、次のプレーを判断することができている。彼女たちが接近戦で見せる冷静さは、最近の同年代の男子代表に決定的に欠けているものだ。

猶本の縦パスのタイミング、田中陽の位置取りを参考にすべき。

 実際のところ、男子に比べてスピードに劣る女子サッカーの場合、少々ミスをしても、失点に直結する確率が低い。その分、ボールを失うことを恐れず、余裕を持ってプレーできるという側面はあるだろう。しかし、だとしても、男子が手本にできる点はあまりに多い。

 最近は同年代の男子にも、パスサッカーを標榜しながら、どうボールを動かしていいのか分かっていないかのようなチームが少なくない。そんなチームには、猶本光が縦パスを出すタイミングや、田中陽子がそれを受けるポジショニングなどが、大いに参考になるはずだ。

 勝ち上がりとともに、メディアに取り上げられることも多くなったヤングなでしこ。だが、彼女たちを、単に「萌え」や「癒し」の対象としてだけ見ていたのではもったいない。可憐なルックスもさることながら、彼女たちが見せるサッカーは、実に上質なものなのである。

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