前田遼一に代わって1トップに入ったマイクの存在感。

　こう見ていくと、左右のサイドでこの日もっとも物足りなかったのは香川だろうか。

　指揮官がイラク戦でエースを外すことはまずないだろうが、清武の台頭によって争いが一気に激しくなってきたことは喜ばしい限りである。

　またサイドバックも、酒井宏は清武との好連係を見せ、大事を取った長友佑都の代わりに左サイドバックで先発した駒野友一も、ハーフナー・マイクに正確なクロスを送ってアシストをマークしている。どちらが右サイドバックで出てくるかも、ポジティブな話題だと言えよう。

　そして忘れてならないのが、4試合連続で先発していた前田遼一に代わって1トップで先発したマイク。

　前半の入り方こそ硬かったが、次第にボールを引き出せるようになってからは連係もスムーズになっていった。圧倒的な高さで決勝点となるヘディングシュートを決め、2月のウズベキスタン戦以来となる先発で結果を残した意味は大きい。

「きょうは個人的には自信を取り戻すことが大事だったので、それができたのは良かった。ターゲットとしての役割も果たせたんじゃないかなと思う。ボールをもっと収められれば、よりチームのためになれると思う」

チームの底上げという部分で、いろんな可能性が見えてきた試合。

　UAE戦全体を総括すれば、少し間延びした前半は全体的に押し上げられず、いつもの分厚い攻撃が影を潜めた。消極的な横パスや、ミスからカウンターを何度も受けたことも反省材料と言える。

　全体的に試合内容は低調だったと言わざるを得ない。しかしながらチームの底上げという部分では、いろんな可能性が見えてきた試合でもあった。チームの活性化にもつながった。

「（メンバーについては）次の試合まで何日間かあるので、そこまでに考えたい。次の試合は大切になるので、できるだけリスクのないチョイスをしたい」とザッケローニは言う。

　ネガティブな悩みばかりでなく、ポジティブな悩みが多かったことを収穫と捉えていいのではないだろうか。