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球団初のGM制導入で、
阪神は生まれ変われるか。
~猛虎再建、中村勝広氏に託す~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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posted2012/09/01 08:00

球団初のGM制導入で、阪神は生まれ変われるか。~猛虎再建、中村勝広氏に託す~<Number Web> photograph by KYODO

借金生活が続く中、ベンチの和田監督(右)や藪恵壹、片岡篤史両コーチの表情も冴えない。

 古豪・阪神が踏ん張ってくれないと、プロ野球が盛り上がらない。

 縦縞のユニフォーム一筋、誰よりも内部事情を知リ尽くしていた和田豊監督が就任した今季、新生“阪神”の誕生に期待が集まっていた。

 だが開幕後は打てず(打率リーグ5位)、守れず(防御率リーグ4位)、走れず(盗塁リーグ6位)のありさま(いずれも8月19日現在)。新旧交代の時期に、若手がチャンスを生かせず、かといってベテランの奮起もなく、クライマックスシリーズへの自力出場の消滅と点灯を繰り返している。

 阪神には昔から、親会社の中にいくつかの派閥があり、その権力争いのなかで監督人事が決められていた。こういった状況に不満を抱いた元オーナー久万俊二郎は、野村克也、星野仙一という外様監督を三顧の礼を尽くして迎え入れ、体質改善に取り組んだ。この時、大型補強や大胆なリストラが実現できたのも、人間関係のしがらみがなかったからだろう。

 その後、再び阪神OBが指揮をとるようになって低迷が続いていた。前任者からの負の遺産を受け継いだ和田新監督も思い切った選手起用をしたくてもできない実情があった。そこで、リーグ5位と低迷する中、球団は初のGM制を導入することを決断。ドラフト戦略や育成面など、チームを統括的に見ることができる人材を求めたのだ。

温厚な中村に必要とされるのは、阪神の悪い部分をすべて被る覚悟。

 6月の阪急阪神ホールディングスの株主総会でも話題になった、主力選手の高齢化や若手が育っていない状況を改善すべく、その実行役として、中村勝広氏に白羽の矢が立った。阪神の監督やオリックスのGM、監督を歴任した人物で阪神に未だ残る“関東人脈(千葉や茨城の出身者)”の中心的存在である。

 千葉出身の和田監督とも繋がりが深く、指揮官が目指す野球を知り尽くしている。和田にとっても、改革を断行する際の“クッション役”と“最後の砦”になってくれる存在は心強いに違いない。

 ただし、中村氏の試みが成功するかどうかは、名家の出身で温厚な人柄として知られる彼が“阪神の悪い部分をすべて被れる覚悟があるかどうか”にかかっている。来季のチーム再建を目指す阪神が、その任を監督だけに負わせるのではなく、GM制の導入という手を打ったことは、好材料であることは間違いない。

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