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あの“名選手”はどうなる?
来季の殿堂入りで議論沸騰。
~クレメンスらの薬物疑惑、その後~ 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byYukihito Taguchi

posted2012/08/15 06:00

あの“名選手”はどうなる?来季の殿堂入りで議論沸騰。~クレメンスらの薬物疑惑、その後~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

薬物使用について偽証罪に問われたクレメンスだが今年6月、連邦地裁で無罪が確定した。

 来年の表彰セレモニーは、一体、どんな雰囲気になるのだろうか。

 7月22日、ニューヨーク州のクーパーズタウンで恒例の野球殿堂入り表彰が行なわれた。今年の表彰者は、レッズひと筋で19年間プレーしたバリー・ラーキンと、カブスで活躍した故ロン・サントの2人。ラーキンは「信じられないこと。いろいろな人に支えられた」と感慨深げにスピーチし、サント夫人は涙を浮かべた。

 その一方で、米国球界では、早くも来季の殿堂入りについての論議が始まった。というのも、ステロイドなど薬物使用疑惑のあるバリー・ボンズ、ロジャー・クレメンス、サミー・ソーサらが、殿堂入り資格を満たすことで、世論が沸騰し始めたからだった。

 1936年、タイ・カッブ、ベーブ・ルースら5人の功労を称える目的で始まった米国の野球殿堂では、今年までに選手、監督、発展貢献者ら約300人が表彰された。だが、球界から永久追放された「ブラック・ソックス事件」のジョー・ジャクソン、「野球賭博事件」のピート・ローズは、依然として表彰の対象には入っていない。

“ステロイド時代”の薬物使用が取り沙汰された選手の殿堂入り資格については、近年、批判的な意見が大半を占めていた。史上最多の762本塁打を放ったボンズは「偽りのキング」と呼ばれ、薬物使用を認めたロドリゲス(ヤンキース)も、将来的には殿堂入りに値しないと酷評された。

クレメンスの“グレー”な無罪によって、変わった風向き。

 ところが、今年6月、ワシントン連邦地裁でクレメンスの「無罪」が確定したことで、風向きが変わった。現実的には「限りなくグレーに近い」一方で、真偽が実証されなかったこともあり、薬物禍を選手個人だけでなく、「球界の歴史の一部」(USAトゥデー紙)として解釈する意見も聞こえるようになってきた。ボンズにしても、裁判は終わっていないものの、選手としての能力と多大な貢献を認めようとする声も高まってきた。

 来季、ボンズやクレメンスが、殿堂入りするかは、現段階では定かでない。ただ、ミステイクに寛容な米国民とはいえ、たとえボンズらが殿堂入りしたとしても、薬物とは無縁のグリフィーjr、マダックスら「クリーンな」名選手と一線を画すことは避けられそうにない。

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