SCORE CARDBACK NUMBER

日本ラグビーの虎の穴、
菅平合宿が11年ぶりに復活。
~総合格闘家・高阪剛を招いた理由~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

PROFILE

photograph byNobuhiko Otomo

posted2012/08/12 08:00

日本ラグビーの虎の穴、菅平合宿が11年ぶりに復活。~総合格闘家・高阪剛を招いた理由~<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

あの“皇帝”ヒョードルを倒した「世界のTK」高阪臨時コーチのタックル指導を受ける廣瀬。

「僕は11年前を経験してるんですよ。前の菅平も、菅平がなかった時代も、11年ぶりの復活も、僕だけ(笑)」

 さすがジャパンの最古参だ。34歳のWTB小野澤宏時は、少し得意げにそう言うと、「こういう合宿じゃないとできないことってありますからね」と続けた。

 7月16日から5日間、ラグビー日本代表は、2001年以来となる長野県菅平での強化合宿を敢行した。かつては、7月最終週には日本のトップ選手が菅平に集結し、代表を目指して鎬を削ったもの。しかし春の代表活動が長期化し、トップリーグの創設でシーズン開始も早まり、ジャパンの菅平夏合宿は廃れていた。

「でも、ここは日本ラグビーの聖地。この伝統と文化を活かしていきたい」

 指揮官エディ・ジョーンズはそう言って菅平合宿を復活させた。テーマは「スキルとフィットネスの向上」。毎週のように試合が組まれた春シーズンも、エディは連日の3部練習で選手を鍛え続けたが、合宿ではメニューの強度をアップ。さらに、リングスなどで活躍した総合格闘家の高阪剛さんを招き、至近距離で低く速くタックルに入る秘訣を学ぶスペシャルセッションも開講した。

高阪剛のタックル講座で「我々も速さと低さを取り戻したい」。

「高阪サンは180cm、105kgの身体で、2m、130kg近い相手と戦ってきた選手。彼の指導を受けて、日本の柔道やレスリングが世界で勝ってきた理由が分かった。我々も、日本ラグビーの速さと低さを取り戻したい」(エディ)

「低いタックル、とはよく言われたけど、どう低くなるかというプロセスを細かく教えてもらえた」(LO大野均)

 菅平合宿には17歳のSO山沢拓也、19歳のWTB竹中祥らノンキャップ組から、小野澤と大野、追加招集のFB田邉淳という34歳トリオまで、年齢も経験も幅広い選手が集い、試合形式の練習とタフなトレーニングメニューに挑んだ。

「若手には、手本になれるベテランと一緒にプレーして、彼らの判断力を学んだり、時間を共有することが大切」とエディが言う通り「普段の生活から意識の溝を埋められる」(小野澤)、「シーズン前に、みんながジャパンの一員だと再認識できたのは良かった」(廣瀬俊朗主将)と、グラウンド外の効果も。

 標高1200m。高原の薄い空気の下で鍛える。ジャパンの『虎の穴』復活だ。

関連コラム

関連キーワード
小野澤宏時
高阪剛
エディ・ジョーンズ
竹中祥
山沢拓也
廣瀬俊朗

ページトップ