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「康介さんを手ぶらでは帰せない!」
チーム力で勝った、男子メドレーの銀。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2012/08/05 12:40
左から藤井拓郎、松田丈志、北島康介、入江陵介。レース後「本当に、自分の役割をきちんと果たして終われたよ」とコメントした北島。
競泳の最終日、最後の最後に魂を揺さぶられるレースが待っていた。
男女の400mメドレーリレーである。
女子は予選を2位で通過、アメリカなどは予選で2番手の選手を使うから参考にはならないが、形として4コースのオーストラリア、6コースのアメリカに挟まれる形でレースを進められたのが日本に味方した。ターゲットを意識しながらレースが出来たからだ。
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背泳ぎの銅メダリスト寺川綾、平泳ぎの銀メダリスト鈴木聡美が泳ぎ切った段階では、メダル圏内で来ることは予測できていた。実際に寺川は2位、鈴木が3位でつないだ。ここまでは筋書き通り。踏ん張ったのはバタフライの加藤ゆかと、自由形の上田春佳だ。
「日本が、一番チーム力が高いと信じて泳ぎました」と話した加藤は3位を守り抜き、上田につないだ。
「ドキドキした。前の3人が良い位置で来てくれたので、メダルを絶対に持って帰りたいという気持ちで頑張った」とスタートした上田は、350mのターンで一度は4位に沈んだものの、ラストに力を溜めていた。
歓喜の銅メダルだ。
上田と一緒に練習をする寺川は、4月の選考会の時点から「一緒にメドレーリレーを泳ぎたい」と目的を明確にして、200mはきっぱりと捨てた。その「覚悟」が全員の覚悟につながったかのような銅メダルだった。
女子のレースを見て、刺激を受けたのが男子の4人である。
「メドレーリレーでとてもメダルは期待できない。頭が痛いところです」
4月の国内選考会が終わった時点で、平井ヘッドコーチは男子のメドレーリレーについては悲観的だった。
「バタフライ、自由形がこれではメドレーリレーでとてもメダルは期待できない。頭が痛いところです」
特にバタフライ、自由形の藤井拓郎は個人競技での派遣標準記録を突破できず、メダルは厳しいというのが大方の見方だった。
しかし競泳の掉尾を飾るレースで、チームの結束力が信じられない力を生み出した。