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高橋尚成を輝かせている、
“あの”勝負球と大リーグとの相性。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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posted2010/05/18 10:30

高橋尚成を輝かせている、“あの”勝負球と大リーグとの相性。<Number Web> photograph by Getty Images

初勝利を挙げたブレーブス戦後、自身のブログで「緊急登板でブルペンで1球しか投げれずにマウンドに行ったよ(>_<)マウンドに行ってから、15球くらい投げれたけどね(^o^)プロになって初体験!!アメリカでは、いろいろ起こるね(^o^)」と絵文字交じりの報告

 各チーム30試合以上を消化しているが、マイナー契約から開幕メジャー入りを果たしたメッツの高橋尚成投手が、“予想通り”の活躍をしている。

 ここまで14試合に登板し、3勝1敗、防御率2.78(成績はすべて5月12日現在。以下同様)を残し、ここ最近は5試合連続無失点の投球を続けており、さらに調子を上げている。彼の投球が十分にメジャーで通用しているのは疑いようのない事実だ。

 “予想通り”というのは徐々に説明するとして、まずは高橋の成功を証拠立てるデータをご覧頂きたい。

    高橋尚成 11.12
    ティム・リンスカム(ジャイアンツ) 11.92
    ヨバニ・ガヤード(ブルワーズ) 10.72
    クレイトン・カーショー(ドジャース) 10.47

 これは9回あたりの奪三振数を示したもので、参考資料として挙げた3投手は、現在ナ・リーグの同記録の上位3人だ。規定投球回数に達していない高橋はランク外だが、2年連続サイ・ヤング賞投手のリンスカムに匹敵する数値を記録している。実は高橋のジャイアンツ時代の成績からこの記録を算出すると、7.21でしかないのだ。なぜ高橋の投球が世界最高峰リーグのメジャーで、より威力を発揮しているのか。もちろん理由がある。

「こっちでもシンカーが十分通用するのがわかった」

 キャンプ中のオープン戦登板から高橋は好投を続けていたのだが、ある試合の登板後、確信をもって話をしてくれた。

「こっちでもシンカーが十分通用するのがわかった」

 それはキャンプでの投球を観ていた我々の目からも一目瞭然だった。彼が投げるシンカーに、打者のバットは次々と空を切り、タイミングを合わせるのさえもやっとという状態。結局、キャンプ終了まで打者の反応は変わることがなく、その時点でシンカーが高橋の絶対的な勝負球になると感じ、シーズン中の好投を予想していたわけだ。

 現在のメジャーでは、左投手が投げるシンカー(おもにチェンジアップと呼ばれる)は非常に有効だと言われている。特に右打者に対して絶対的な威力を発揮し、通算305勝のトム・グラビンや先日メジャー最年長完封勝利を飾ったジェイミー・モイヤーなど、多くの技巧派左腕投手がこの球種の使い手として知られる。

 ここまでの高橋の投球をみても、対左打者被打率(.200)と対右打者(.214)にほとんど差がなく、有効にシンカーを利用しているのがわかる。メッツの同僚で、左の中継ぎペドロ・フェリシアーノ(対左.160、対右.296)と比較しても、その違いは明らかだ。

【次ページ】 滑りやすいメジャー球に適応できたことも有利に。

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