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2011年W杯をかけたアジア杯開幕へ。
“進化した”なでしこジャパン。 

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河崎三行

河崎三行Sangyo Kawasaki

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posted2010/05/18 10:30

2011年W杯をかけたアジア杯開幕へ。“進化した”なでしこジャパン。<Number Web> photograph by KYODO

今年2月には東アジア選手権2連覇を達成したなでしこジャパン。最新(3月21日現在)のFIFAランキングではアメリカ、ドイツ、ブラジル、スウェーデンに続く5位である

 それにしてもAFCはなぜ、いつも女子アジアカップをとんでもない時期に開催するのだろう。

 前回'08年は、北京五輪直前の5月末から6月にかけてだった。アジアのオリンピック出場国なら、欧米の強国と手合わせして最終調整に専念したい大切な時期である。そんな時期に玉石混交のグループリーグから戦わねばならないアジア杯は、いかにも時間が惜しいと思ったものだ。

 そして、間もなく開幕する'10年大会の日程は5月19日~30日。サッカー界の話題が男子の南アW杯一色に染め上げられている、まさにその最中である。2月の東アジア選手権や11月のアジア競技大会との兼ね合いがあったにせよ、もう少し何とかならなかったものか……。

 と、愚痴を並べるのはこのへんにして。

2011年女子W杯予選を兼ねたアジア杯は負けられない戦いだ。

 今回のアジア杯は'11年女子W杯の予選も兼ねていて、3位以上に出場権が与えられる。その重要度は'08年の比ではない。会場は中国四川省・成都。開幕直前ということで、まずは大会展望をしておきたいと思う。

 なでしこジャパンはグループリーグで北朝鮮、タイ、ミャンマーと同じA組に振り分けられた。準決勝に進む上位2チームを、ともにFIFAランク5位の日本と北朝鮮で分け合うのはまず間違いのないところ。

 今大会初優勝を狙う日本は、4位となった北京五輪時の先発陣からセンターバックの池田浩美(引退)、左DFの柳田美幸(メンバー入りせず)、ボランチの阪口夢穂(怪我)が抜けている。

史上最多の海外組が参加する新生なでしこジャパンの顔ぶれ。

 替わってそのポジションを務める可能性が高いのが19歳の熊谷紗希、22歳の鮫島彩、21歳の宇津木瑠美あたり。熊谷は一対一の対応と空中戦が、鮫島は守備力とフィジカルコンタクトが、宇津木はロングパスの精度と運動量が、国際大会でも通用することを証明したいところだ。

 もちろん若さは強みでもあって、勢いに乗ればチームをぐいぐいと引っ張る存在にもなり得る。彼女たちがどれだけフィットできるかが、日本の浮沈の鍵を握るだろう。

 ところで今回のチームには、日本女子サッカー史上最多の『海外組』が名を連ねる。アメリカでプレーする澤穂希、宮間あや、山口麻美、ドイツでプレーする安藤梢、永里優季の5人だ。多くが途中合流の形となるが、コンディション調整以外に不安要素はないだろう。山口以外は北京五輪時の主力メンバー。チームとしてやるべきこと、その中で自分が果たす役割は十分に理解している。山口にしても、米フロリダ州立大在籍時代は全米最優秀選手賞に輝いた逸材。なでしこジャパンに新しいアクセントをもたらすはずだ。

【次ページ】 日本と同じA組の北朝鮮も優勝候補の一角を占める。

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