ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER
五輪代表に残った選手、落ちた選手。
関塚ジャパンの選考基準を読み解く。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byMiki Sano
posted2012/07/03 11:45
サプライズ招集となったのが、身長187cmを誇るJ2東京V所属の大型FW、杉本健勇(けんゆう)。“五輪代表は1クラブ3人まで”という原則が代表選出への妨げとなる可能性を考え、清武、扇原、山口ら有力候補がひしめくC大阪を飛び出し、東京Vに期限付き移籍中。その判断が見事に実った。
ロンドン五輪に出場するU-23日本代表、18名が正式に決定した。
すでに予備登録メンバー35名が発表されており、その中からの18名ということで、メンバーはほぼ順当な顔触れだった。あえて、サプライズと言うならFW杉本健勇の選出、大迫勇也の落選だろう。
杉本は、4月の国内キャンプには招集されたものの、最終選考の場となったトゥーロン国際大会には参加していなかった。関塚隆監督は「高さとゴール前の迫力に期待している」と、選考理由を明らかにしたが、トゥーロン国際大会に参加していなかったからこそ選出されたとも言える、大抜擢だった。
18名選出に大きな影響を与えたのは、関塚監督が「自分たちを見直す機会になった」というトゥーロン国際大会だった。
「トゥーロンでの結果を踏まえて、守備は考えざるをえなかった」
初戦のトルコ戦は、アジア最終予選を戦ってきた選手を軸に挑んだが、相手の勢いや当たりの強さに腰砕けになり、何もできずに敗れた。これには、出場した選手以上に関塚監督がショックを受けた。このメンバーなら十分、戦えると思っていたからだ。つづくオランダ戦は、宇佐美貴史、高木善朗ら海外組の奮起で勝ったが、エジプト戦は相手のパス回しについていけず、宇佐美の個人技で一度は追い付いたが、最後は突き放された。1勝2敗で、日本はグループリーグ敗退を喫したのである。
課題は、明確だった。
(1)崩壊した守備の再構築。
(2)1トップの再考。
(3)チームに落ち着きとリズムの変化をもたらすことができるボランチの補強。
メンバー発表の席上、関塚監督は「トゥーロンでの結果を踏まえて、守備は考えざるをえなかった」と、述べたように3試合で7失点を喰らった守備にメスを入れた。GK、DF、ボランチを含めると11人が選出され、吉田麻也と徳永悠平の2名のOA枠選手も入っている。
一番の注目は、OA枠ではなく、ボランチだ。
攻撃のセンスが長けている扇原貴宏、攻守のバランスが良い山口螢、DF登録されている山村和也に加え、アンカータイプの村松大輔が選出されていることだ。
ここでイメージできることは、1つ。
2010年、南アフリカW杯の日本代表だ。