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涌井無き西武を支える“新エース”、
岸孝之の盤石の安定感を検証する。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byTamon Matsuzono

posted2012/06/13 11:35

涌井無き西武を支える“新エース”、岸孝之の盤石の安定感を検証する。<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

今年はキャンプから開幕投手を意識していると発言していた岸孝之。過去2年間の故障を考えても、岸が今季にかける思いが強いことが分かる。渡辺監督も涌井と競わせる予定だったはずなのだが……。

 勝敗だけでは判断できない円熟味溢れる投球が、今季の岸孝之にはある。

 6月11日のヤクルト戦。

 3回まではカーブをはじめ変化球中心で相手打線を完璧に抑えていたが、4回に1点を奪われ2対1と点差を詰め寄られると、岸はストレート中心の投球に切り替えた。

「岸さんは強いボールを投げてくれていたので、真っ直ぐで打ち取ることができました」

 この日、バッテリーを組んだ炭谷銀仁朗はそう語る。

 力のあるストレートはヤクルト打線を沈黙させる。5回以降は大きなピンチを作ることなく、岸は8回を1失点に抑えチームに勝利をもたらした。

 圧巻。そう受け取れる投球だった。

 岸の内容に杉本正投手コーチが、「ストライク先行だったし、見ていて安心していた。これぐらいなら十分じゃないかな」と及第点を与え、渡辺久信監督も「安心感があった。今日みたいに主導権を取れる試合がなかなか無かったからよかった」と、安堵の表情を浮かべながら岸の好投を評価した。

 だが、当の本人はいたってクールだった。

「フォアボールで無駄なランナーを出さないように気をつけて投げました。ピッチング内容に関しては、銀(銀仁朗)がしっかりとリードしてくれたんで相手のタイミングを外すピッチングはできたと思います」

「6勝5敗」の数字では分からない、クオリティ・スタート継続の凄さ。

 ここまで6勝5敗。

「先発にとって勝ちがつくのが一番」と言う本人からすれば満足できる成績ではないかもしれない。しかし、防御率はリーグ5位の1.68(6月12日現在)とハイアベレージを残している。

 とにかく安定感がある。なにせ、11試合の登板のうち10試合は2失点以内に抑えており、9試合は7イニング以上。自責点は1試合平均1.36と、「6回3失点以内」のクオリティ・スタートを越える投球を岸は続けているのだ。

 だからといって、単にコンディションがいいだけではここまでの安定感は披露できない。投手というのは、いくらボールが走っていたとしても相手打線に的を絞られ、打たれる試合などいくらでもある。

【次ページ】 なぜ岸は好不調の波が極端に少ないのか?

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銀仁朗(炭谷銀仁朗)

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