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幻のPP、リタイアと、
武運なきシューマッハー。
~逸話多きモナコの地で見せた走り~ 

text by

今宮純

今宮純Jun Imamiya

PROFILE

photograph byHiroshi Kaneko

posted2012/06/07 06:01

幻のPP、リタイアと、武運なきシューマッハー。~逸話多きモナコの地で見せた走り~<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

スタート直後、グロジャンにぶつけられ8番手に後退し、63周で棄権したシューマッハー。

 M・シューマッハーが初めてポールポジションを獲得したのは'94年5月のモナコGPだ。A・セナ没後、25歳のシューマッハーはF1デビュー4年目にしてこのストリートサーキットを征服。2位M・ハッキネンを0.928秒も突き放す、まさに鬼神の走りを見せつけた。

 そこから'06年フランスGPまでに最多記録68PPを樹立。だが意外にもモナコでは'94、'96、'00年の3度とそう多くはない。'06年にはトップタイムを出しながらも他車の走行を妨げる行為にペナルティが科せられ、最後尾スタートとされた。

 復帰して3年目。今季は開幕戦から予選4位、3位、2位……と、メルセデスW03で鋭いタイムアタック・パフォーマンスが甦ってきていた。しかし決勝ではなぜかいつも彼のマシンにトラブルが多発し、上位入賞できない。新生メルセデス・チーム悲願の1勝目を果たしたのは、第3戦中国GPでのN・ロズベルグ。7冠王は脇役に回った。

 そして迎えたモナコGP。

「自信はある。このコースには高速コーナーがあまりなく、我々のW03には合っていると思うからだ」

ベテランは耐えて次のチャンスをじっと待っている。

 説得力のあるコメントだった。コース特性を知り尽くし、W03の長所短所も理解しているシューマッハーの走りをコースサイドでじっくり観察していると、彼はタイムよりもマシンとの“対話”を優先、コーナーごとに反応を確かめているように思えた。43歳という年齢を忘れさせるほど初日からアグレッシブに攻め、フェラーリ時代のように入念にセットアップを固めていくアプローチが目立った。

 土曜予選直前フリー走行はクリアラップが取れず8位も、予選ではセクター1、2、3で自己ベストをきっちり揃え、トップタイムの1分14秒301を記録した。

 モナコGP必勝法則はポールポジションにあり(この10年で勝率70%に達する)。シューマッハーは69回目のポールポジションをやり遂げた。しかし、前戦スペインGP決勝で科せられたペナルティで6位に降格する。そして決勝ではまたしても燃圧系トラブルでリタイア。開幕6戦で2度しか完走を許されないシューマッハーに武運はなかった。新記録となる6人目のウイナーが誕生した今季、ベテランは耐えて次のチャンスをじっと待っている。

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