スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
ケンプの故障と混戦のMVP争い。
~打撃絶好調なMLBの男たち~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2012/06/02 08:01
今季は打棒復活、初のMVP獲得の期待も高まるメッツの三拍子揃ったイケメン三塁手、デヴィッド・ライト。
ア・リーグがジョシュ・ハミルトン(レンジャーズ、左翼手)で、ナ・リーグがマット・ケンプ(ドジャース、中堅手)。
4月が過ぎるころには、大半のファンが彼らに眼を奪われていたのではないか。
2012年の大リーグ、MVP争いの先陣を切って突っ走ったのがこのふたりだったことは、私が付け加えるまでもない。
ただし――。5月も終わろうとする頃、情勢は変わった。
ハミルトンは元気だが、ケンプが左足のハムストリングスを痛めてしまったからだ。出場試合数が36で止まった彼は、現在、規定打席数を満たしていない。4月の成績が球史に名を残すような素晴らしさだっただけに、狐につままれた思いのファンも少なくないと思う。ま、故障が治れば、巻き返す可能性は十分に残されているのだが。
というわけで、私もMVPレースの展望を修正してみたいと思う。
開幕後、約50試合を経過すると、さすがに常連が増えてくるが、なかには珍しい顔も混じっている。
三冠王も視野に入るハミルトンと好調維持するコナーコ。
まずは、ア・リーグから。
こちらは、依然としてハミルトンが強い。2012年5月30日の時点で、打率=.368/出塁率=.420/長打率=.764。打率だけはリーグ2位に落ちたが、21本塁打と57打点は、いまも独走状態をつづけている。つまり、三冠王の夢はまだ残されているし、現在のペースで進めば、65本塁打、180打点という驚異的な数字も不可能ではない。
打率と出塁率でハミルトンを抜いたのは、ホワイトソックスのポール・コナーコ(.381/.455/.642)だ。
年は取ったが、衰えは見られない。2番手3番手の好位置をキープし、終盤まで上位を維持するのではないか。