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敗れてなお破格の存在感。
天皇賞も主役はオルフェ。
~本来の末脚勝負でGI5勝目を~ 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2012/04/28 08:00

敗れてなお破格の存在感。天皇賞も主役はオルフェ。~本来の末脚勝負でGI5勝目を~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

3角で逸走し、2着に終わった阪神大賞典。調教再審査も合格、5つ目のGI獲得を狙う。

「ポテンシャルの高さはディープインパクト以上」と、早い時期からオルフェーヴル(牡4歳、栗東・池江泰寿厩舎)を高く評価していたのは、ディープを生産したノーザンファームの吉田勝己代表だった。阪神大賞典(3月18日、阪神芝3000m、GII)で見せた常識破りの内容は、それが買い被りでなかったことの証明になった。

 衝撃の阪神大賞典。怪物的なパフォーマンスは、2周めのバックストレッチの半ばから。あまりに遅い流れに、1周めのゴール板付近から行きたがるそぶりを再三覗かせていたオルフェーヴルだが、池添騎手の懸命な制止もついに届かず、ゴールまでまだ1000mも残している場所から先頭に躍り出てしまったのだ。しかも、あろうことかその直後に「仕事はもうおしまい」と言わんばかりの“ウイニングラン”を、無人の外ラチに向けてやらかしたのだからたまらない。急激なスピードダウンは、スタンドからは鼻出血か心房細動による競走中止にしか見えなかった。戦列から離れたように見えるオルフェーヴルの姿に、他馬のジョッキーたちも、色めき立って少し早めの仕掛けに打って出たほどだ。

「まだやってたの?」とばかりに猛追を始めたオルフェーヴル。

 一番ショックを受けたであろう池添騎手は「何か叫びたくても声が出ませんでした。頭の中は一瞬で真っ白。なまじ好スタートを切って、普通の競馬をして勝とうとした自分の甘さを悔やみました」と、そのときの気持ちを語ってくれた。

 しかしドラマはそれで終わらなかった。馬群が猛スピードで通り過ぎるのを右目に見たオルフェーヴルは、「まだやってたの?」と言ったかどうか、進路を内に変えて追走を開始したのだ。停止寸前の状態から、一気にトップギアにチェンジする離れ業。あの冷静沈着な安藤勝己騎手(オウケンブルースリ騎乗)が、「戻ってきた!」と思わず大声を出したという。結果はソツなく内ラチ沿いを立ち回ったギュスターヴクライに半馬身差届かずの2着。勝った福永騎手がゴール後に、横に並んできたのが池添騎手だったことに驚き、思わず二度見してしまっていたのが印象的だった。

 29日の天皇賞(京都芝3200m、GI)の主役はもちろんオルフェーヴル。池添騎手の言葉から最後方からの競馬が想像されるが、それでも負けはしない。

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