野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
中畑監督の精神もギリギリだ!!
でも、ベイスターズが変わる理由。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/04/15 08:01
連敗しても、なんとか選手やファンの気持が折れないように頑張る中畑清監督の男気は、まさに「演歌の心」。「忍」の一文字である。
えー。
前回の記事で「今年のベイスターズはすごいからハマスタに集結せよ!」とさんざん本拠地開幕戦に行けと煽っておきながら、いざ蓋を開けてみれば、完封・完封・ノーノー・完封・8回まで完封と●●●●●なんて何の伏せ字かと思うような黒星が続く連敗で、球団が最重要視していた“本拠地開幕シリーズ”を真っ黒で終えたベイスターズ。
ついでに勝ち星どころかまるで点が入らず46イニングス連続無得点試合の球団記録更新までつくってしまう、悪い意味でこれ以上ない開幕逆噴射スタートで4月12日現在3勝7敗1分。開幕して早々に6連敗も記録しており、堂々のセ・リーグ最下位となっている。
ローズ、佐々木などが競演した開幕戦の始球式イベントは実に素晴らしかったが、'98年は遠くになりにけり。
昨年のどん底からいきなり勝てるようになれるわけもなく。負けることは想定内。負けて当たり前。
梶谷(時期が)早すぎ。
国吉(ペース)抑え過ぎ。
中畑監督(ドツボに)ハマリ過ぎ。
気になっていた点は負けてからどう立ち上がるか、振る舞うか……だった。
連敗がかもし出す“負けるのが当たり前”の空気が一番怖い。
就任以来、あれだけ明るく振る舞っていた中畑清。どんなに負けても、当初の宣言通り前を向き続けることができれば、チームは間違いなく変われる。それとも、先人たちと同じく最初だけ威勢が良くて、交流戦が終わるころには得体の知れないモヤモヤに取り込まれてしまうのか。
連敗は恐ろしい。それが折り重なりできあがる“負けるのが当たり前”の空気は尚更だ。その空気に取り込まれたら最後。前回優勝の礎を作り再登板を託された監督も、球界きっての理論派である名ピッチングコーチでさえも、抗う術もアナライズも機能しないままに、次第に精気を奪い取られ、キャリアをぐちゃぐちゃにされた挙句に野球界の隅っこへと放り出されてサヨナラだ。
満を持して迎えた本拠地の開幕戦で、いきなりのノーヒットノーランを含むド連敗。気を許せばあっという間に昨年までの空気に戻ってもおかしくないこの状況だったが、中畑監督の心はそれでも折れてはいなかった。