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プレミアリーグ版“マネーボール”?
清貧クラブのニューカッスルが躍進。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2012/04/12 10:31

プレミアリーグ版“マネーボール”?清貧クラブのニューカッスルが躍進。<Number Web> photograph by AFLO

ニューカッスル今季最大のサプライズ、ハテム・ベンアルファ。昨年までの波のあるパフォーマンスから一転、ハイレベルなプレーを見せ続けている。

 プレミアリーグの2011-2012シーズンも残り数試合のみ。欧州への切符を懸けた接戦の中で、ひときわ異彩を放っているのが、「持たざる者」のニューカッスルだ。

 イングランド北東部の街で、プレミア唯一の地元クラブとして強固なファンベースを持つニューカッスルだが、その経営規模は“ビッグ4”と呼ばれるマンチェスターU、チェルシー、アーセナル、リバプールに、さらにマンチェスターCとトッテナムを加えた“ビッグ6”の足下にも及ばない。

 会計・監査法人大手のデロイト社による『クラブ長者番付』によれば、ニューカッスルの昨季売上は約9800万ユーロ(約105億円)。今季のリーグ優勝を争うマンチェスターの両雄や、残るCL出場2枠を争うロンドンの3強の数字には一桁足らないのだ。加えてニューカッスルは、3シーズン前に2部リーグ降格まで経験している。

 にもかかわらず、今季のニューカッスルは数字の上ではCL出場権獲得の可能性も残した状態で、大詰めの4月を迎えている。最大の功労者は、昨季途中に就任したアラン・パーデュー監督だ。

パーデュー監督の「正統派」の戦術で失点を防ぐ。

 4月1日の第31節リバプール戦(2-0)には、「パーデューのニューカッスル」の魅力が集約されていた。

 リバプールは、昨年に主力選手を引き抜いた因縁の“ビッグクラブ”。地元出身のCFアンディ・キャロルは、40億円台の移籍金で強奪された。国内屈指の左SBだったホセ・エンリケは、「トップ6入りの見込みは皆無」と嫌味を言って移籍していった。ニューカッスルは、両者が先発したリバプールにホームで完勝し、敵を7位から8位に蹴落とした。自軍は5位チェルシーと同勝点での6位を維持したのだから、ニューカッスル陣営は気分爽快だったに違いない。

 コンパクトな4-3-3システムで戦うチームは、キャロルの高さに頼っていた昨季前半までとは別物だ。「正統派」を自称するパーデューは、ターゲットマンの後任獲得を焦ることなく、中盤を活かすスタイルへの変更に踏み切った。新生ニューカッスルの心臓は、移籍2年目のボランチ、シェイク・ティオテ。ひたすら敵の攻撃の芽を摘むハードワークは、トッテナムとイングランド代表の中核、スコット・パーカーにも引けをとらない。リバプール戦では、CBでキャプテンのファブリシオ・コロッチーニを欠いていたが、4バックの盾となって完封勝利に貢献した。GKティム・クルルの成長もあるが、リーグ戦での無失点試合数は、既に昨季最終値の「9」を上回っている。

【次ページ】 格安で獲得したFWの「ダブル・デンバ」が得点を量産。

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