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開幕投手は絶対エースで行くべき!?
斎藤佑樹で勝負する栗山監督の深謀。 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2012/03/24 08:01

開幕投手は絶対エースで行くべき!?斎藤佑樹で勝負する栗山監督の深謀。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

「普通に考えたら開幕投手は武田勝でユウキが勝負するような内容ではない」として「スマン」とエース格の武田勝に謝ったという栗山英樹監督。斎藤は「開幕を任せてもらえるという話をいただき、経験したことがないほど身の引き締まる思いがしました」と答えている。

 開幕投手とはすなわち、「今年はこの投手を軸にローテーションを組んでいく」というチームの意思表示である。

 だからこそ、エースを投入する。

 今季、開幕投手が当確と言われている投手は、セ・リーグは中日・吉見一起、ヤクルト・石川雅規、巨人・内海哲也、阪神・能見篤史、広島・前田健太、DeNA・高崎健太郎。

 パ・リーグでは、ソフトバンク・攝津正、日本ハム・斎藤佑樹、楽天の田中将大。西武の涌井秀章とロッテの成瀬善久も第一候補として有力視されている。オリックスも戦線離脱した金子千尋に代わり寺原隼人が浮上するなど、ラインナップはほぼ固まってきた。

セオリーを覆す!? 開幕投手・斎藤という選択。

 開幕投手は、チームが納得するだけの実績を残した者だけが担うことのできる大役。常識的に考えれば確かにそうだが、その通説を意図的に跳ね返したチームがある。

 それが、日本ハムだ。

「開幕投手は斎藤佑樹」

 キャンプからそれを示唆していた栗山英樹監督だったが、とうとう決断を下した。

 開幕戦という、いわばプロ野球の一大イベントに、知名度が高い斎藤が先発マウンドに立つということは、インパクトはあるし、何より強力な話題性にもなる。

 だが、斎藤は昨季、ローテーションを守ったといえるかどうかギリギリの活躍で(約1カ月半戦線離脱している)、しかも6勝しか挙げていない。オープン戦での成績も11回を投げ防御率4.09(3月20日現在)、練習試合などの対外試合を含めても全ての試合で失点しており、「ゼロ点」など度々、指揮官から叱責を受けるほど安定感に欠けている。そのため、どうしても力不足の感は否めない。

 昨年まで5年連続で開幕投手を務めたダルビッシュ有が抜けた穴は大きいとはいえ、日本ハムには先発の役者は揃っている。

 3年連続2ケタ勝利をマークしている武田勝に昨季14勝のケッペル、12勝のウルフ。

 実績だけなら斎藤よりもはるかにいい。本来なら、3人のうち誰かが開幕投手を務めるべき。そう考えても不思議ではない。

 それでも斎藤を選んだということは、栗山監督の決断は苦渋からではなく、英断に近い要素が含まれている、というわけだ。

 それは、指揮官の言葉からも窺い知ることができる。

「ユウキの潜在能力を引っ張り出すという使命感があった」

【次ページ】 抜擢に応えて飛躍した、オリックスの金子と広島の前田。

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