SCORE CARDBACK NUMBER

一塁転向を決めた城島が、
持ち続けるチームへの思い。
~名捕手は「膝の回復」を待つ~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

photograph byKYODO

posted2012/03/28 06:00

一塁転向を決めた城島が、持ち続けるチームへの思い。~名捕手は「膝の回復」を待つ~<Number Web> photograph by KYODO

「阪神に骨を埋める覚悟で!」

 メジャーから日本復帰を決めた城島健司はかつてこう言っていた。

 マリナーズを退団後、古巣ソフトバンクへ復帰すると考えた人も多かったはずだが、かつての二軍監督・古賀英彦に「王さんの下に戻るのが筋だと思っていたが、エージェントはここにしてくれと言われた以外に球団から連絡がなかった。その時、熱心に誘ってくれたのが阪神だった」 と語ったという。“チームを支える”という思いが人一倍強い城島だからこそ、恩義のある阪神を何とかしたいと考え、移籍後に無理を重ねていた。'10年オフに左膝の手術をしたが復帰を急いだため負担がかかり、昨年8月に再手術となった。

 今季は膝への負担が少ない一塁手として開幕スタメンを目指し、外野用と一塁ミットしか持たずキャンプに臨んでいた。「キャッチャーミットを持って来れば、どうしても使いたくなる」という理由だったが、代役の藤井彰人が左わき腹痛で戦列を離脱することになった時、城島の口から「捕手をやりたい」という言葉が出てきた。「選手生命にかかわることだから」とスタッフから懸命に説得され、一塁に専念することを決めた。

和田豊監督も本音は「キャッチャー城島がベスト」。

 ライバルはチームNo.1の長打力を誇るブラゼル。キャンプでは、レギュラー生き残りをかけて攻守の練習に取り組んだ。従来の本塁打狙いのヤマ張りのバッティングは影をひそめ、得点狙いの右狙いの打球が多くなってきた。

 そんな彼の姿をじっと見つめていたのは、城島が父親以上の存在と慕う王貞治だった。3月6日のオープン戦であいさつに向かうと、「ジョーはどんな時にでもジョーらしくいろ」と声をかけられた。この試合の7回、先頭打者として打席に立つと、迷いを吹っ切るように引っ張った打球は左翼ポール際への本塁打となった。

 危機感を持ったブラゼルは外野練習にも取り組んでいるが、新任の和田豊監督の本音は「キャッチャー城島がベスト」。城島自身も「捕手は全試合でマスクをかぶってこそ活きてくる。シーズン序盤にエサをまいて、優勝争いで何を投げさせるかだから」と語っていた。名捕手が本職の座を離れなければいけない今シーズンは辛いはずだ。だからこそ、相手投手の一番いい球を打つことが大事だと考えながら、「膝の回復」を待っている。

関連コラム

関連キーワード
阪神タイガース
城島健司
ブラゼル

ページトップ