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偉大な先人の影に悩む、
レイカーズの首脳2人。
~M・ブラウンとJ・バスの宿命~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2012/03/23 06:00

レイカーズの屋台骨を支えているジム・バス、マイク・ブラウン、ジェリー・バス(左から)。

レイカーズの屋台骨を支えているジム・バス、マイク・ブラウン、ジェリー・バス(左から)。

 どの世界でも、成功者の後を継ぐほど難しい仕事はない。ロサンゼルス・レイカーズのヘッドコーチ、マイク・ブラウンは今、そのことを痛感しているのではないだろうか。

 ブラウンがレイカーズのヘッドコーチに就いたのは去年5月。昨季後に引退した名将フィル・ジャクソンの後任だった。

 シーズン開幕から2カ月半、レイカーズの選手たちは努力家のブラウンを認め、受け入れている。しかし一方で、敗戦が続いたり物事がうまくいかないと、ついジャクソンと比べてしまうようだった。達観したジャクソンとは対照的に細かな指示を出すブラウンをうるさく感じ、ジャクソン時代のトライアングル・オフェンスを懐かしく思い出すこともあった。比較は時に批判につながる。そこにはこの先、大きな問題に発展する危うさが見え隠れしている。

 3月13日現在、レイカーズは26勝16敗でパシフィック・ディビジョン首位にいる。決して悪い成績ではないのだが、それでも評価されないのが名将の後継者のつらいところだ。

ブラウンの一番の理解者は、同じく“後継者”のジム・バス。

 そんなブラウンの仕事の難しさを、チーム内で誰よりも理解できる一人が、レイカーズのオーナーの息子、ジム・バスだ。レイカーズの黄金時代を築いた名オーナー、ジェリー・バスを父にもち、後継者候補として14年前からレイカーズのフロントで働いている。近年、父が年を取り一線を退いていくにしたがい、より大きな役割を担うようになってきた。

 父のような経験や実績がなく、しかもコミュニケーション力で劣るジムは、何かとレイカーズ・ファンの批判の矢面に立つことが多い。ヘッドコーチ選びでジャクソンのアシスタントコーチだったブライアン・ショーを選ばなかったときも、去年夏、長年務めてきたスカウトなどスタッフの多くを解雇したときも、自分の権力のためにジャクソン色を一掃しようとしているのだと批判された。

 それが事実なのか、周りが描く間違った人物像なのか、今はまだどちらとも断言できない。ひとつ確実に言えることは、ジム・バスにしてもブラウンにしても、チームが以前と同じような成功を収めない限りは、どんなに間違った批判でも消えないということ。たとえ不公平であっても、それが後継者の宿命なのだ。

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