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初ヒットに満面の笑み。
青木宣親、安打量産の予感。
~MLBのシビアな評価のなかで~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byYukihito Taguchi

posted2012/03/22 06:00

初ヒットに満面の笑み。青木宣親、安打量産の予感。~MLBのシビアな評価のなかで~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 こぼれた言葉は、本音だった。

「とりあえず1本出てホッとしました。いつかは絶対1本出るのは分かってましたが、気持ちが楽になりました」

 3月5日、ジャイアンツとのオープン戦で初安打を放ったブルワーズの青木宣親は、満面の笑みで「米国初安打」を振り返った。ヤクルト時代の8シーズンで、首位打者3回を獲得し、通算1284本の安打を積み重ねた日本屈指の好打者が、オープン戦で放った1本の二塁強襲安打を、子供のように喜んだ。

 今年1月、ポスティング制度でブルワーズへ入団した。もっとも、入札後、キャンプ地アリゾナで首脳陣に練習を披露したうえで契約するなど、レギュラーを確約されて迎え入れられたわけではない。直前の紅白戦とオープン戦の2試合で無安打だったことで、青木はいつしか重圧とも戦い始めていた。

「日本人バブル」崩壊の影響を受け、年俸はおよそ四分の一に。

 2005年、2010年と2度の年間200本安打をマークした青木。本来であれば、イチローの1年目と遜色ない契約内容、期待度を背負っていても不思議ではない。ところが、近年のメジャー球界では日本人野手への評価はシビアで、高額年俸を提示するような「日本人バブル」は完全に崩壊した。青木の場合、その影響をまともに受けたもので、年俸は日本での3億3000万円から100万ドル(約7800万円)まで下がった。

 となると、あとは結果を出す以外にない。例年、豊富なトレーニングと徹底的な打ち込みで調子を上げていく習慣があり、初めてのメジャーキャンプでは、練習量不足にも戸惑った。早出、居残りで打撃練習を繰り返しても、質、量とも納得できるものではない。練習後、滞在先近くの公園に短パン姿で向かい、素振りやストレッチ、筋トレを行なうなど、独自の工夫も欠かしていない。

「もっと体を張らして、疲れさせてからでないと、自分の調整ができない。まだ、打つ直前に力が入ってしまう。あとは慣れていくだけでしょう」

 正右翼手ハートが古傷の右ヒザ手術で開幕絶望となり、青木のプレー機会が増えることは確実となった。元々、練習以上に実戦で力を発揮するタイプ。'09年WBCでジャパンの3番を任された男が、開幕後、一気に安打を量産しても、日本のファンはおそらく誰も驚かない。

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