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2年ぶりの大阪春場所で
“金と名誉”を掘り起こせ。
~担当部長・貴乃花親方の奮闘~ 

text by

佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

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photograph byKYODO

posted2012/03/10 08:00

2年ぶりの大阪春場所で“金と名誉”を掘り起こせ。~担当部長・貴乃花親方の奮闘~<Number Web> photograph by KYODO

吉本新喜劇で春場所をPRした貴乃花。舞台には5分ほど出演し、観客から拍手を受けた。

「すべては土俵の下に埋まっているんだ」――かつての角界の先達たちの言葉が、ふと脳裏をよぎる。

 八百長問題を受けて3月の春場所を中止、5月夏場所は無料の技量審査場所として開催し、NHKによる中継もなかった昨年の大相撲界。混乱を極めた2011年度の決算で、相撲協会は49億円近い赤字を計上することに。2場所分の本場所チケット収益と放映権料の収入がないうえ、中止となった巡業の勧進元や、チケットを扱う相撲案内所(相撲茶屋)に対しての補償、八百長問題の調査費用などの出費も嵩んだためだ。

 資産額は約376億円に目減りし、協会事務方の責任者は、「今後もボディブローのようにジワジワと効いて来るだろう」と不安そうに顔をしかめた。北の湖新理事長も、「厳しい状況に置かれているのは承知している。一層の土俵の充実に努めたい」と現状を重く受け止めている。

 そんななか、3月11日に初日を迎える大阪春場所。新理事長の命を受け、新大阪場所担当部長に抜擢されたのが、貴乃花親方だ。

横綱としての資質が問題視される大関把瑠都の昇進はどうなる?

 大阪改革ののろしをあげる橋下徹市長を巻き込んで宣伝をし、自ら吉本新喜劇の舞台に上がるなど、そのアピール活動に必死な様子。大横綱の捨て身の技が功を奏してか、春場所のチケットの売れ行きは概ね好調だという。「2年ぶりというだけで、珍し物好きの大阪人は盛り上がっている。俺たちも浪花の商人ですからね。昨年のぶんを取り戻そうと、必死にチケット売ってますわ」とは、ある相撲案内所の現場での声だ。

 春場所で注目されるのは、大関把瑠都の横綱昇進だ。2年前に大関に昇進したゲンのいい場所でもあり、把瑠都本人も、「結果だけではなく内容も大事になる。勝負の場所」とその意気込みを語る。

 新横綱誕生が待望されるが、「パワー頼みの雑な相撲で、無類の稽古嫌い」といわれている把瑠都。「たとえ2場所連続優勝しても、すんなり昇進が決まるかどうか。これまでも私服姿の外出で3度の厳重注意を受けるなど、その言動で資質を問題視する向きも。朝青龍の二の舞にならないよう、横綱審議委員会から物言いがつくのでは」との声も聞く。

 土俵の下には「金」も「名誉」も埋まっているという。汗と涙を流した者だけが、それを掘り起こすことができるのだ。

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