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浪速で大関鶴竜が誕生。
万年大関から抜け出すのは?
~史上初6大関時代の危機感~ 

text by

佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

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photograph byKYODO

posted2012/04/09 06:00

浪速で大関鶴竜が誕生。万年大関から抜け出すのは?~史上初6大関時代の危機感~<Number Web> photograph by KYODO

優勝決定戦で鶴竜(左)は左上手投げで白鵬に敗れ、「簡単に優勝はできない」とうなだれた。

「荒れる春場所」と称される3月大阪場所が、幕を閉じた。昨年は八百長問題を受けて中止され、2年ぶりの開催となったのだが、客足は好調だった。一昨年は8日間下がった満員御礼の垂れ幕が、今年は9回。「浪速の春」は賑わいを取り戻していた。

 思い起こせば、先の初場所に初優勝した把瑠都の綱取りが注目されていたはずの春場所。しかし4日目に鶴竜に土をつけられ、11日目からは琴欧洲、琴奨菊と同僚大関相手に連敗。横綱昇進が絶望的になると話題は一転、関脇鶴竜の大関昇進一色に。千秋楽、鶴竜が豪栄道に一気に寄り切られると、1差で追う白鵬が把瑠都を倒し、鶴竜に並んだ。優勝決定戦に臨んだ鶴竜は、初優勝こそ逃したものの、文句なしの大関昇進を果たす。

 一方、「追われる立場から追う立場」となった白鵬は、初の逆転優勝で、辛くも22回目の賜杯を抱いた。一夜明け、安堵の表情を浮かべて胸のうちをこう吐露した。

「本当に疲れました。8割はもうダメだと思っていた。でも決定戦での鶴竜がガチガチになってるのがわかったし、やはりこちらは経験がある分有利だった」

白鵬は「この大関はちょっと違うな」と鶴竜を評価。

 朝青龍の引退以来、ひとり横綱として角界の頂点に立ち、早2年。もうひとりの横綱誕生が待望されるなか、来場所からは大相撲史上初の6大関が番付に並ぶ。琴欧洲、把瑠都、日馬富士、琴奨菊、稀勢の里、そして、地味ながらも相撲巧者である新大関の鶴竜だ。居並ぶ大関たちの標的となる白鵬は、「来場所からはまた厳しい場所になりますね。横綱になるのに必要なのは、精神力です」と言い切り、同胞でもある鶴竜をこう評した。

「勝っても負けても表情の変わらないことについて、『相手に対する失礼がないように』と言っているのを聴きました。武士道の精神を持っているのかな。この大関はちょっと違うな、と思っています」

 だが、大関6人衆のなかから次の横綱が? との質問には「どうなるんでしょうかねぇ」と言葉をにごし、苦笑いを浮かべる。その白鵬の表情が、現在の大関陣の実力を物語っているようでもあった。

 技能派である鶴竜の安定感はすでに高評価を得ているが、「横綱予備軍」というよりも皆で足並み揃え、「万年大関」に甘んじてしまう危機感もある。横綱昇進レースの号砲は鳴るのだろうか。

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