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ニックスに現れた救世主、
J・リンの人気が沸騰中。
~異色のNBA選手がもたらす熱気~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2012/02/23 06:01

NBA初となる台湾系米国人選手のリンは、主力が欠場する中、大活躍を見せ連勝に貢献

NBA初となる台湾系米国人選手のリンは、主力が欠場する中、大活躍を見せ連勝に貢献

 灯台下暗しとは、まさにこのことだ。開幕から1カ月半、ニューヨーク・ニックスはポイントガードを探していた。オールスター選手を3人揃えながらも成績は低迷し、その原因がポイントガードにあることは明らかだったのだ。

 ヘッドコーチのマイク・ダントーニがかつてサンズを率いていた時は、彼のオフェンスをコート上で表現できるポイントガード、スティーブ・ナッシュがいた。しかしニックスはスター選手獲得のためにポイントガードを手放しており、その影響がはっきり出ていた。

 このまま負け続けたら、ダントーニの首も危ないのではと囁かれた矢先、ニックスはナッシュのようなポイントガードを見つけた。なんと、ニックスのベンチに埋もれていたのだ。NBA2年目、23歳のジェレミー・リン、ハーバード大出身の台湾系アメリカ人2世である。

 昨季はウォリアーズに所属していたリンは、今季のトレーニングキャンプ初日に解雇され、直後に拾われたロケッツからも開幕前夜にカットされた末、ニックスにたどり着いた。

アイビーリーグ出身、アジア系アメリカ人という珍しい経歴。

 そのニックスも、他の選手と契約するためにリンを解雇する寸前だった。しかしその前に実力を見定めようと、2月4日のネッツ戦で36分出場時間を与えたところ、リンは25点、7アシスト、5リバウンドの活躍で、チームを勝利に導いた。次の試合でスターターに抜擢すると、またも大活躍を見せて勝利。その後もリン・マジックは続き、2月14日現在、ニックスは6連勝中。その6試合でリンは平均26.8点、8.5アシストをあげている。

 アイビーリーグ出身、アジア系アメリカ人と、NBAでは珍しい経歴の持ち主だけに、人々の先入観を壊した存在としても注目を集めているが、リンが壊した先入観はそれだけではない。ニックス首脳陣は以前から、ニューヨークのファンはスーパースターを求めていると言ってきた。しかし無名のリンが与えられたチャンスを生かして活躍する姿に、ニューヨーカーたちは夢中になっているのだ。ニューヨークの熱気はあっという間にアメリカ中に広まった。

 いきなり人気者になったリンは、10日前と変わらぬ謙虚さで言う。「この先の道のりはまだ長いけれど、その道中で人々に勇気を与えられるのなら嬉しい」

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