SCORE CARDBACK NUMBER

最年長トライ記録を更新。
走り続ける41歳、松田努。
~東芝、王座奪回への切り札~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

PROFILE

photograph byYuka Shiga

posted2012/02/18 08:01

最年長トライ記録を更新。走り続ける41歳、松田努。~東芝、王座奪回への切り札~<Number Web> photograph by Yuka Shiga

かつて日本選手権3連覇(1996~1998年)に貢献。トップリーグ通算12本目のトライが金字塔に

「僕じゃないでしょ」

 マン・オブ・ザ・マッチの表彰を受けた湯原祐希が苦笑混じりに呟いた。

「協会の人も、空気を読んでほしいです」

 視線の先には、報道陣に囲まれるFB松田努の姿があった。1月29日、秩父宮ラグビー場で行なわれた東芝×リコーで、松田は開始6分に相手WTBマーク・リーをゴール前で止める猛タックルで先制トライを阻止。続く12分には、CTB仙波智裕の突破に鋭く反応。相手ディフェンスのいない大外のスペースに長駆走り込んだ背番号15がパスを受けた瞬間、秩父宮のスタンドはどよめいた。長い髪をなびかせてインゴールに走り込んだ松田がボールを置いたとき、自身が持っていたトップリーグの最年長トライ記録は、「41歳8カ月29日」に塗り替えられた。「あそこは仙波が抜けたから、サポートにつくのは当たり前のプレー。でも、みんなが喜んでくれるのを見て嬉しかった」

 もはや日本ラグビーの生ける伝説だ。

 関東学院大から東芝入社19年目の今季も開幕からリザーブに入り、後半の勝負どころでピッチへ。年明けの第10節からは先発FBに指名され、サントリーの連勝を止めた第11節の府中ダービーでは、ターンオーバーからの相手キックに猛然と戻り、23歳のFLマイケル・リーチがファンブルしたボールを間一髪で蹴り出しトライを防いだ。まさに最前線から最後尾までフルタイムで体を張り続ける。

19日開幕のプレーオフで王座奪回の切り札となるか!?

「心掛けているのは、アタックでもディフェンスでも、人に任せず自分ですぐ動くこと」という動き出しの早さと、「今年はリーチとか、ランナー役の選手が多いから」という密集での仕事量が、41歳のFBをさらに進化させる。2年後輩の和田賢一監督は「松田さんの先発15番は、練習のパフォーマンスで勝ち取ったもの」と言い切る。確かに、W杯代表の宇薄岳央、7人制のエース豊島翔平らを抑えての先発も頷けるフル回転だ。こうなると、興味はいつまで現役を続けるか?

「体がキツいときもあるけど、勝ったときにみんなと喜べる嬉しさはいつも格別。できればこのまま定年まで、というのは冗談ですが、まあ55歳くらいまで(笑)。それより、まず今年勝ちたい」

 国内最強を決めるプレーオフは19日開幕。王座奪回を狙う東芝の切り札は、リーグ最長老、不惑を超えた荒馬FBだ!

■関連コラム ► 世界のW杯代表が躍動するラグビー・トップリーグ展望。~魅力を世界に発信できるか?~
► <名将が見たラグビーW杯> 清宮克幸 「ドラマなき敗戦を受けて」

関連キーワード
松田努
東芝ブレイブルーパス

ページトップ